BYDのEV、初の月間30万台超え 中国10月の販売は明暗、小鵬・小米が5万台突破で蔚来・理想は減少

BYDの10月の新エネルギー車(NEV)販売は49万168台で、2026年の月間最高を記録しました。電気自動車(BEV)の乗用車は初めて30万台を突破。11月1日(日)に出そろったほかの中国EVメーカーの数字は明暗がくっきり分かれ、零跑汽車(Leapmotor)は10万6,127台で記録を更新、小鵬汽車(Xpeng)と小米汽車(Xiaomi)はそろって5万台超え。一方で蔚来(NIO)と理想汽車(Li Auto)は前年を下回りました。

BYDの数字は、香港取引所に出した月次の生産・販売速報によるものです。総販売は前年同月比10.97%増、前月比5.74%増。前年比プラスは6か月連続で、CnEVPostによると2024年12月以来の高水準です。

BYDはさらに「電気寄り」に

主役はBEVです。10月のBEV乗用車は30万5,743台で、前年同月比37.38%増、3か月連続の過去最高。逆にプラグインハイブリッド(PHEV)は17.23%減の17万7,382台でした。CnEVPostの計算では、乗用車に占めるBEVの比率は63.28%で、1年前の50.95%から大きく伸びています。

伸びを支えたのは輸出です。10月の海外向けNEVは17万194台で前年同月比102.84%増(9月比では5.81%減)。一方、中国国内の販売は31万9,974台で、前年より10.57%少なくなりました。1〜10月の累計は362万1,744台で、前年をまだ2.16%下回っており、うち輸出は151万3,154台です。財聯社、東方財富、新浪財経(快科技の記事)も同じ数字を報じていて、新浪によるとブランド別では「王朝」「海洋」シリーズが42万3,843台、方程豹(Fang Cheng Bao)が4万3,872台、騰勢(Denza)が1万5,152台、仰望(Yangwang)が258台でした。

海外で稼ぐ構図は、第3四半期の純利益28%増と同じです。苦しいのは国内のほうで、BYDは11月5日に2代目「Seal 07」セダンを投入して巻き返しを図ります。

新興勢は「3勝2敗」

零跑汽車の10月の世界販売は10万6,127台。4か月連続で10万台を超え、前年同月比51%増でした(界面新聞)。ただ、前月比では0.45%増にとどまります。年初からの累計は77万2,666台で、年間目標100万台の77%。残り2か月で月平均約11万3,700台が必要です。今月には累計200万台目がラインオフする見込みだそうです。

小鵬汽車は5万237台で、初めて月5万台を突破。前年同月比20%増、前月比22%増です。海外は過去最高の1万3,326台(166%増)で、京報網(北京日報)の計算では全体の約26.5%。新車の4台に1台以上が中国の外へ出ていく計算です。

小米汽車は「5万台超」とだけ発表し、正確な台数は明かしませんでした。今年の月間最高で、5万台を超えたのは2回目。10月はレンジエクステンダー(EREV)の新シリーズ「澎程(Sky Nomad)」がまるまる1か月納車された最初の月でした。

蔚来は3万4,246台で前年同月比15.23%減。前年割れは2024年2月以来です。ブランド別では蔚来が1万8,125台、楽道(ONVO)が8,383台、萤火虫(firefly)が過去最高の7,738台。理想汽車は2万9,025台(8.63%減)で2月以来の低水準ですが、新型MEGAは3,000台超を納車したとしています。ファーウェイ主導の鴻蒙智行(HIMA)は50.84%減の3万3,537台。吉利傘下の極氪(Zeekr)は9月比12.72%減の3万2,483台でしたが、前年比では51.63%増でした。

中国証券報は新興勢の10月を「顕著に分化した」とまとめ、中国汽車工業協会(CAAM)の陳士華・副秘書長の「新エネ車が自動車輸出の半分以上を占める状態が4か月続いている」という発言を紹介しています。

背景にあるのは弱い国内市場

今回の数字は、中国の小売りが弱い月に出てきたものです。業界データでは10月1〜25日のNEV小売りが13%減で、各社はローン施策でテコ入れしています。中国の数字を後日、乗用車市場情報連席会(CPCA)経由で公表するテスラも、Model 3/Model Yの頭金を半額にしたばかり。10月に勝ったのは、おおむね新型車があるか、輸出の太いパイプを持つブランドでした。

EVXの視点

日本の自動車メーカーにとって本当に怖いのは49万168台ではなく、17万194台、つまりBYDの「1か月分の輸出」です。行き先は東南アジア、欧州、中南米、オーストラリア。トヨタやホンダ、日産が、中国で細った利益を取り返そうとしている市場そのものです。CnEVPostの10月の一覧では、広汽トヨタが5万3,022台、東風ホンダが1万7,026台(いずれも全パワートレインの合計)。2014年創業のスタートアップである小鵬が、広汽トヨタまで約2,800台差に迫った計算です。日本国内のBYDはまだ小さなブランドで、ラインナップはATTO 3、DOLPHIN、SEAL、そして写真のSEALION 7など。それでも、これだけの輸出力を持つ会社なら、日本で大きくなくても、日本メーカーの稼ぎ場をほかの地域で十分に脅かせます。

次の注目は今週後半に出るCPCAの10月速報。小米の正確な台数とテスラ中国の数字がわかります。

出典:BYD 香港取引所開示(2026年10月 生産・販売速報)、CnEVPost(BYD)、CnEVPost(まとめ)、財聯社、東方財富、新浪財経、界面新聞、京報網、中国証券報(新浪経由)。

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:BYD Sealion 07 EV(日本名SEALION 7)。ドイツ・ベーブリンゲン、2025年3月。写真:Alexander Migl / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、トリミングあり)。

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EVX News Desk
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