テスラは10月、ノルウェーで新車1,548台を登録し、同国で過去最高の10月となりました。ブランド別でもトヨタをわずか55台差で抑えて首位です。スウェーデンでは248%増、デンマークでも34%増でした。数字が出たのと同じ日に、テスラ欧州はサイバーキャブの欧州12カ所ツアーを発表。初日は11月5日(木)のチューリッヒです。
ノルウェー:トヨタとの接戦
ノルウェー道路交通情報評議会(OFV)によると、10月の乗用車新規登録は15,725台で前年同月比41.2%増。10月としては30年以上で最多です。EV比率は98.8%でした。テスラは1,548台(130.7%増、シェア9.8%)で、2024年10月の1,348台を上回り10月の過去最高を更新。2位トヨタは1,493台、3位フォルクスワーゲンは1,308台でした。
勝負を決めたのは最後の1週間です。OFVによると、テスラは10月18日までの登録がわずか125台でしたが、10月26〜31日の6日間で1,074台を登録。この6日間はノルウェーの新車のおよそ5台に1台がテスラだった計算です。Elbil24は「テスラは四半期の最初の月は弱いのが普通」と指摘しています。背景にあるのは税制です。政府の予算案では年明けにEVの付加価値税(VAT)優遇がさらに縮小され、多くのEVでVATが37,500クローネ(約64万円)増える見込み。そのため購入を前倒しする人が多いと同誌は伝えています。
車種別ではモデルYが1,429台で今回もトップ。2位のトヨタbZ4X(725台)のほぼ2倍で、3位はフォルクスワーゲンID.4(553台)でした。
OFVの発表でもう一つ目立ったのが中国勢です。中国ブランドのシェアは22.5%(3,534台)と月間で過去最高を記録し、前年の16.9%から伸びました。ブランド別ではXPeng(小鵬)が932台で5位、BYDは816台。OFVのゲイル・インゲ・ストッケ専務理事は「新車の5台に1台以上が中国ブランドになり、その数は1年でほぼ倍増した」とコメントしています。BYDは本国・中国でも10月にEV販売が初めて月30万台を超えました(中国10月販売の記事)。
スウェーデンとデンマーク
スウェーデンでは、業界団体モビリティ・スウェーデンの発表によると、10月の乗用車新規登録は24,660台(約2%増)で、EV比率は前年の36%から51%に上がりました。Breaking The Newsが同団体のデータとして伝えたところでは、テスラは463台で、前年10月の133台から248.1%増。内訳はモデルY 328台、モデル3 135台です。トヨタは7.7%増の2,142台、ボルボは24.2%減の3,973台でした。
伸び悩んだのはデンマークです。テスラは34%増でしたが、シェアは0.73%どまり。BYD、零跑(Leapmotor)、XPeng、MGの4社はそれぞれ1.6〜5.5%のシェアを取り、テスラを上回りました。bilstatistik.dkのデータをもとにロイターが報じています。ロイターは北欧全体の回復の理由として、前年10月が低かったこと、燃料価格の上昇、補助制度、EV需要の伸びを挙げました。アナリストのフェリペ・ムニョス氏は「北欧は効率の良いEVであれば新しいプレーヤーにも開かれている」と話しています。テスラは10月、第3四半期末の受注残が乗用車で過去4年で最大だったと説明しています。
サイバーキャブの欧州ツアー
テスラ欧州は11月2日(月)午後5時24分(日本時間)、X(旧Twitter)でツアーを発表しました。「Cybercab is back(サイバーキャブが帰ってきた)。11月5日から、自動運転の未来をつくる私たちの取り組みを体験してください」という投稿で、立ち寄り先は12カ所です。
- スイス・チューリッヒ(オート・チューリッヒ):11月5〜8日
- スロバキア・ブラチスラバ:11月20〜21日
- ドイツ・デュッセルドルフ:11月20〜21日
- チェコ・プラハ:11月27〜28日
- ドイツ・ハンブルク:11月27〜28日
- ポーランド・ワルシャワ:12月4〜5日
- ドイツ・ベルリン:12月4〜6日
- ルーマニア・ブカレスト:12月11〜12日
- ドイツ・ミュンヘン:12月11〜12日
- ハンガリー・ブダペスト:12月18〜19日
- ベルギー・ブリュッセル(ブリュッセル・モーターショー):1月8〜17日
- オーストリア・ウィーン(Vienna Drive):1月14〜17日
TeslaNorthによると、ほとんどはテスラの店舗で、3カ所はモーターショーなどのイベント会場です。あくまで展示で、試乗ではありません。欧州での乗車サービスや販売、ロボタクシーの時期についてテスラは何も触れていません。欧州では運転支援機能の承認も国ごとに進んでいる段階です(先月はラトビアがEUで10カ国目に)。サイバーキャブは9月に日本を回り、つい先日は上海の中国国際輸入博覧会にも登場しました(関連記事)。
EVXの視点
ノルウェーの表は、日本から見ても面白い内容です。OFVの上位30ブランドに入った日本勢(トヨタ1,493台、日産364台、スバル306台、スズキ227台、マツダ165台、レクサス107台)を足すと2,662台、シェアは約17%。中国勢の22.5%には届きませんが、はっきりした復活です。トヨタは前年10月にわずか62台でしたが、今年は2位の人気車種bZ4Xに加え、新型アーバンクルーザー(415台)とC-HR+(299台)が売れました。スバルは新型EVでゼロから306台、スズキは6台から227台に増えています。日本で発売が後になるEVを、ノルウェーで先に売っているケースも少なくありません。テスラにとっては、価格と効率で選ぶ市場ではモデルYがまだ強い一方、デンマークではすでに中国勢に抜かれているのが現実です。欧州12都市のサイバーキャブツアーは宣伝としては良いですが、欧州でのロボタクシー認可に近づくわけではありません。
出典:OFV(ノルウェー)、Elbil24、Motor、Mobility Sweden、Breaking The News、ロイター(Euronext経由)、テスラ欧州(X)、TeslaNorth、テスラジャパン(PR TIMES)。執筆時点でNot a Tesla Appはこの数字を報じていませんでした。
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:ノルウェー・サンドヴィカ(オスロ近郊)に停まる、ノルウェーナンバーの新型テスラ・モデルY(2025年6月)。写真:Andrzej Otrębski/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、トリミング)
