テスラ、もう作っていないセダンの意匠特許を取得。ちょっと気になります

テスラが、いまは作っていないクルマの米国意匠特許を取りました。米国特許商標庁(USPTO)は11月3日(火)、低い4ドア・ファストバックセダンの車体を対象とする意匠特許D1,156,251 S(名称「Automobile body」)を登録。出願は2025年5月5日。フリーモント工場から最後のモデルSが出てから、ほぼ半年後の登録です。はい、図面をガン見しました。

特許には車種名がなく、テスラもノーコメント。でも記録の中にけっこう大きなヒントがあって、タイミングも含めて、ふつうの特許ニュースよりちょっと面白いんです。

何が守られるのか

意匠特許が守るのは「見た目」で、仕組みではありません。Justiaの特許記録によると、請求項は定型どおりの1文だけ。「図示し説明した自動車車体の装飾的デザイン」です。図面は14枚。上下からの斜視図8枚、正面と背面、左右の側面、上面と底面。陰影は面の形、破線部分は保護対象外です。

描かれているのは、長いルーフがそのままテールへ流れるファストバック。最初にXで登録を見つけた韓国のテスラウォッチャー、Chansoo Byeon氏や特許追跡サイトGetTeslaは、フロントリップ、サイドスカート、リアスポイラー、リアディフューザーにも注目しています。X上のテスラウォッチャーによると、デザインはチーフデザイナーのフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏とデザイナーのジュリアン・ビロドー氏。この2人はJustiaの一覧を見ると、2017年のトランクリッドから2021年のステアリングヨークまで、テスラの意匠特許に何度も登場します。

2015年5月13日以降に出願された米国意匠特許は登録から15年有効。今回のものは2041年までです。

モデルSのヒント

ここがいちばん好きなところ。審査官は参考にした先行資料を記録に残します。この特許の「その他の参考文献」には2025年の記事が3本、しかも全部2026年型モデルSの話。MotorTrendの2026年ラインアップ記事、CarscoopsのモデルSフェイスリフト予想、Autoevolutionの「ジュニパー」風モデルS刷新の記事です。審査官は3本とも2026年3月4日に閲覧しています。

これで図面の車種が確定するわけではありません。審査官は似ているものを挙げるだけで、テスラの4ドア・ファストバックで一番近いのは当然モデルS。でも特許庁も「似てる」と思っていたのは確か。私だけじゃなかった。

皮肉なのはタイミング。イーロン・マスク氏は1月28日の決算説明会で、モデルSとモデルXの生産を終え、フリーモントのスペースはオプティマスに回すと説明したとCNBCが報道。electriveとCar and Driverによると、最後のモデルSは2026年5月10日にラインを離れました。大型セダンを1台も売っていない今、セダンの形に15年分の保護。なかなかです。

3つの読み方

どれも確定ではありません。地味なのは「守り」。テスラはすでに作った形にも意匠特許を出してコピーを防ぎます。モデルSがまだ生産中で刷新の噂もあった2025年5月の出願なら、つじつまが合います。メーカーは結局作らないデザインに特許を取ることもあります。

夢があるのは、X上で人気の「将来のセダン、またはスポーティなモデルS後継のヒント」説。スポイラーやディフューザーがその説を後押ししています。本当だったら最高ですが、テスラが何か言うまでは推測扱いです。テスラのデザインチームはほかでも忙しく、Justiaには2026年8月と10月に登録された「Vehicle body」意匠特許がさらに2件。どちらも2024年10月9日、サイバーキャブが初公開された「We, Robot」の前日に出願されています。

テスラ関連でまず確認しているNot a Tesla Appは、執筆時点でこの登録を報じていませんでした。

EVXの視点

日本の購入者にとって、今すぐ変わることはありません。テスラは2025年3月末で日本でのモデルSとモデルXの新車受注を終え、ラインアップはモデル3とモデルYだけになりました(当時日本経済新聞が報道)。米国の意匠特許が守るのは米国内だけで、日本には特許庁の意匠登録という別制度があります。もしテスラが大型セダンを復活させるなら、レクサスLSやクラウンのような大型高級セダンがまだ売れる日本は無視できない市場です。今のところこの特許から分かるのは、テスラがセダンのシルエットをまだ守る価値があると考えていること。最近はサイバーキャブとロードスターの話ばかりだったので(サイバーキャブの欧州ツアーなど)、セダンの特許はかなり目立ちます。日本のテスラ販売を支えるモデル3とモデルYは、どちらも上海生産です(10月の出荷はこちら)。

れすちゃんのひとこと

5年で4台、モデルYを3台とモデルXを1台乗り継いできましたが、モデルSは一度もなし。モデルSっぽい特許図面が、いちばん近づけたモデルSかもしれません😅 いつか本物のクルマになったら最高です。ただの書類だったとしても、かなりカッコいい書類です😂

今回の情報をくれたEVX読者の@tesla_shonanさん、ありがとうございました!

出典:米国意匠特許D1,156,251 S(Justia)、Justia発明者一覧、GetTesla、evtrend.pl、Chansoo Byeon氏のX投稿、CNBC、electrive、Car and Driver、日本経済新聞。

— れすちゃん

アイキャッチ画像:米国意匠特許D1,156,251 Sの図1(USPTO、パブリックドメイン)

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れすちゃん
れすちゃんhttps://evxnews.com
れすちゃん(Lester Miyashiro)。EVX News創設者・編集長として、EVX News Deskの報道全体を統括。東京在住のアメリカ人フォトグラファーで、自他ともに認める「テスラ沼」の住人。2020年にはYouTubeチャンネル『Teslaloha』を開設。日本で最も早くテスラのニュースを発信したチャンネルのひとつ。5年で4台(モデルY×3、モデルX×1)を乗り継ぎ、現在の相棒はモデルY「Juniper」。FSDは4回購入という筋金入り。ついに今のFSDの実力を満喫できた…と思った矢先、FSD未承認の日本へ移住。まさかの振り出しに戻り、今日も自分の手でハンドルを握っている。だからこそ、日本のFSD解禁のニュースには誰よりも目を光らせている。日本のEV・エネルギー・ロボットのニュースを英語圏へ、テスラとスペースXの最新情報を日本へ。愛車がまた自分で走ってくれる日を待ちながら、今日も記事を届けている。

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