テスラ中国、10月の出荷は6万7,829台 前年比10%増も今年最高の9月から29%減

テスラが10月に中国・上海工場から出荷した車(卸売)は6万7,829台でした。前年同月比では10.3%増えましたが、9月の9万5,366台からは28.9%減。中国乗用車協会(乗聯会、CPCA)が3日に発表した速報値で、2月以来の低い水準です。1〜10月の累計は81万889台で、前年同期比21.4%増となっています。

乗聯会の卸売台数は、ギガ上海を出たモデル3とモデルYをすべて数えたもの。中国国内で売れた分も、海外へ輸出された分も含みます。ロイターによると輸出先は欧州、アジア太平洋、カナダで、日本もこのアジア太平洋に入ります。今回の速報では国内販売と輸出の内訳は出ておらず、内訳は月の後半に判明するのが通例です。

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テスラ中国 卸売(乗聯会)2024年2025年2026年
7月74,11767,88693,579
8月86,69783,19286,166
9月88,32190,81295,366
10月68,28061,49767,829
1〜10月累計–667,861810,889
国内販売+ギガ上海からの輸出。出典:乗聯会、CnEVPost集計。

注目したいのは前年比のほうです。ロイターによれば、テスラ中国の前年比プラスはこれで12カ月連続。伸び率も9月の5%から加速しました。この数字を追っているCnEVPostによると、2026年は1月から10月まで、すべての月が前年同月を上回っています。

前月比の29%減は、見た目ほど悪い話ではありません。テスラは四半期の最終月に納車を一気に積み上げ、次の四半期の頭に遠い市場向けの船を出す、というリズムで動いています。だから四半期の最初の月はほぼ毎回いちばん弱い。2025年10月は前月比32%減、2024年10月は23%減でした。今年はちょうどその中間です。香港のAASTOCKSによると、発表後の米国市場の時間外取引でテスラ株は0.3%安。市場もそれほど驚いてはいないようです。

支えてきたのは輸出

大事なのは中身の構成です。CnEVPostが集計した乗聯会データでは、2026年1〜9月のテスラの中国国内販売は38万1,088台で前年同期比11.9%減。一方、上海からの輸出は36万1,972台と108.4%増、2倍を超えました。この期間の卸売に占める輸出の割合は48.7%で、前年の28.6%から大きく上昇。9月単月でも輸出3万529台、国内6万4,837台でした。

ですから、見出しの数字より10月の内訳のほうが多くを語るはずです。輸出が持ちこたえていれば、弱かったのは中国国内ということ。テスラは国内の買い手を呼び込もうと必死で、10月末にはモデル3とモデルYの頭金を半額の3万9,900元(約95万円)に下げ、金利0%ローンも用意しました。発表は10月末なので、効果が本当に試されるのは11月です。

市場は伸びたのに、テスラは今月マイナス

中国市場全体は逆の動きでした。第一財経や新浪財経によると、乗聯会は10月の新エネ乗用車の卸売を180万台(前年比12%増、前月比8%増)と推計。上位5社はBYD、吉利、奇瑞、長安、零跑です。テスラの前年比10.3%増は市場をわずかに下回り、前月比のマイナスは市場のプラスと正反対でした。なお乗聯会自身が「速報値は各社の確定値と異なる場合がある」と注意しているので、180万台はあくまで推計です。

弱いのは小売です。乗聯会が先週発表した10月1〜25日の新エネ車の小売は75万3,000台で、前年同期比13%減でした(新浪財経に掲載の財聯社記事)。卸売は増えているのに小売は減っている。つまりメーカーは、中国の消費者が実際に買う以上の台数を販売店や海外に送り出しているわけです。

EVXの中国EVスコアボード(10月)に当てはめると、6万7,829台のテスラ中国はBYD(49万168台)、零跑(10万6,127台)に次ぐ3位で、小鵬(5万237台)や小米(5万台超)を上回ります。乗聯会の数字が出たので、スコアボードにもテスラの行を追加しました。

EVXの視点

10月はテスラ中国にとって、いつもどおりの「四半期の出だし」に見えます。そして日本にも関係のある話です。日本で売られているモデル3とモデルYは上海製で、その上海工場はいまや生産のほぼ半分を輸出に回しています。中国国内で1カ月弱かったからといって、日本向けの供給がすぐ細るわけではありません。テスラジャパンはちょうど、V2L(車から家電への給電)に対応した新しいモデル3とモデルYを売り込んでいるところです。本当の勝負は11月。第4四半期はテスラが最も攻める時期で、中国の金利0%ローンは小売が縮む市場で試されます。国内が戻らなければ上海はさらに輸出に頼ることになり、日本のような右ハンドルのアジア太平洋市場はその受け皿の一つです。

出典:CnEVPost(乗聯会データ)、ロイター(U.S. News経由)、Newsquawk、AASTOCKS(Yahoo!ファイナンス香港経由)、第一財経(乗聯会の新エネ車推計)、新浪財経(乗聯会の新エネ車推計)、財聯社・新浪財経経由(10月1〜25日小売)、テスラジャパン公式X(V2L)。執筆時点でNot a Tesla Appは10月の数字を報じていません。

— EVX News 編集部

アイキャッチ画像:乗聯会の数字に含まれるモデル3とモデルYがすべて生産されるテスラ・ギガファクトリー上海の空撮(2023年)。画像:中国新聞社/Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

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