中国10月のNEV、出荷は過去最高181万台なのに小売は10%減 乗聯会速報、ガソリン車生産は半減

中国の自動車メーカーは10月、過去最多の新エネルギー車(NEV)を工場から出荷しました。ところが、中国の消費者が買った台数は減っています。乗用車市場信息聯席会(乗聯会、CPCA)が4日に発表した速報によると、10月のNEV小売販売は114万8,000台で前年同月比10%減。一方、メーカーの卸売(出荷)は12%増の180万7,000台と、月間の過去最高を更新しました。

工場を出た台数と、中国国内で客の手に渡った台数の差は約65万9,000台。その一部は輸出で、卸売には含まれても小売には含まれません。残りは販売店の在庫です。いずれにせよ、中国市場の「作る側」と「買う側」がまったく違う数字を見せています。

10月の数字

乗聯会の公式WeChatアカウントの発表として、第一財経、界面新聞(新浪財経経由)、IT之家、中新経緯が報じた10月1〜31日の数字は以下の通りです。

  • NEV小売:114万8,000台(前年比10%減、前月比6%増)。1〜10月累計は890万7,000台(12%減)
  • NEV卸売:180万7,000台(前年比12%増、前月比8%増)。1〜10月累計は1,325万6,000台(10%増)
  • 乗用車全体の小売:169万3,000台(前年比25%減、前月比5%増)。1〜10月累計は1,502万7,000台(22%減)
  • 乗用車全体の卸売:263万5,000台(10%減)。1〜10月累計は2,237万2,000台(6%減)
  • NEVの小売浸透率は67.8%で過去最高。卸売浸透率は68.6%

小売の数字は、実は乗聯会自身の予想を上回りました。乗聯会は10月23日時点で、NEV小売を約107万台(16.5%減)と見込んでいたとCnEVPostは指摘しています。それでも前年割れは10カ月連続。減少幅は9月の16.7%からは縮まりました。

卸売の過去最高は、2025年11月の170万6,000台を上回るものです。1日早く出た乗聯会の推計によると、乗用NEVの出荷首位はBYDの48万3,125台で、吉利(21万3,165台)、奇瑞(13万4,471台)、長安(12万2,422台)、零跑(10万3,021台)が続きます。テスラ上海工場は6万7,829台でした(関連記事)。

ガソリン車はもっと落ちている

今回の発表で一番大きい数字は、EVの話ではありません。乗用車全体の小売が25%減と、NEVよりはるかに大きく落ち込んだのは、ガソリン車の販売が崩れているからです。乗聯会によると、10月第1〜4週の純ガソリン車(小型車)の全国生産は前年比52%減の38万6,000台。国際的な原油高が長引き、維持費がかさんでいるためです。

だからNEVの販売が減っても、NEV比率は記録を更新し続けます。10月に中国で売れた新車の3台に2台がプラグ付き。市場全体が去年より小さくなり、その中での取り分が変わったわけです。

そもそもNEVはなぜ減っているのか。政策の変化が2つ重なっています。NEVの車両購入税の免税措置が2026年1月1日から半減されたこと。そして去年は買い替え補助金の縮小前に駆け込み需要があり、比較対象の数字が高いこと。乗聯会は、10月は国慶節のモーターショー、地方の補助金、メーカーの繁忙期キャンペーンに支えられたとしつつ、月内の推移からは「需要の持続性に欠ける」と警告しています。1日平均の小売台数は第1週の3万3,000台から、月末の追い込みで最終週は9万1,000台まで振れましたが、どの週も前年比22〜29%減でした。

乗聯会は業界に対しても珍しく辛口でした。ほとんどのNEVブランドには大ヒット車がないのに、メーカーは目標達成のために生産ペースを落とさず、その結果、外部で推計される受注と実際の販売の間に「大きな開き」が生じている、というのです。

EVXの視点

日本の自動車メーカーにとっては、こちらの方が厳しい話です。日系の中国事業はまだガソリン車とハイブリッド車が中心で、まさにそこが最も速く縮んでいます。産経新聞によると、9月の中国販売はトヨタが19.7%減の12万7,700台、ホンダが53.1%減の2万5,564台、日産が61.6%減の2万3,658台。10月にガソリン車の生産が52%減ったことを考えると、圧力はまだ続いていそうです。もう一つは、日本に直接届く影響です。国内で売れる台数が減る中で中国の工場が過去最多の台数を出荷すれば、その分は海外へ向かいます。BYDは日本専用の軽EV「ラッコ」や販売網の拡大で、日本市場にかなり力を入れている会社の一つ。2027年にかけて、日本を含むアジアで中国車の輸出攻勢はさらに強まると見ておいた方がよさそうです。ブランド別の数字は10月の中国EVスコアボードで。

出典:乗聯会10月速報(第一財経、界面新聞(新浪財経経由)、IT之家、中新経緯(新浪財経経由)、CnEVPost)、CnEVPost(乗聯会の卸売推計)、乗聯会 市場レポート、産経新聞。数字は速報値で、乗聯会の月次報告で修正される可能性があります。

— EVX News 編集部

アイキャッチ画像:ドイツ・ヴィルヘルムスハーフェンに停泊するBYDの自動車運搬船「BYD EXPLORER NO.1」(2026年9月26日)。撮影:Ein Dahmer/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、トリミングあり)

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