トヨタの中国合弁・広汽トヨタが、EVの「bZ3X(铂智3X)」と「bZ7(铂智7)」計12万1,260台を中国でリコールします。中国の国家市場監督管理総局(SAMR)が11月4日に届け出を公表しました。いちばん大きいのはbZ3Xの10万175台で、原因は前輪サスペンションのナットが緩むおそれ。残る2件はどちらもbZ7で、こちらはソフトウェアの問題です。
同じ日には、トヨタのもう一つの合弁・一汽トヨタと、輸入を担うトヨタ自動車(中国)投資も、ランドクルーザー・プラドとレクサスGX550hのハイブリッド計5万5,477台を燃料ホースの接続部の不具合でリコール。CarNewsChinaの集計では、トヨタの中国でのこの日のリコールは合計17万6,737台になりました。
EVのリコール3件、中身はバラバラ
詳細はSAMRの公告そのままで、界面新聞、北京商報(新浪財経)、易車も全文を伝えています。
- bZ3X、10万175台(2025年2月27日〜2026年3月26日生産、届出番号S2026M0124V)。前輪スタビライザーのリンクを固定するナットの設計が不十分で、締め付ける力が足りないことがあります。緩んで異音が出たり、最悪の場合は外れて走行安定性に影響したりするおそれ。改良ナットに無償交換します。
- bZ7、1万8,130台(2025年10月28日〜2026年8月3日生産、S2026M0125V)。「快適停車」機能をオンにすると、低速で特定の条件がそろったときにブレーキの効きが制限され、止まるまでの距離が伸びるおそれ。対策は無償のソフト更新です。
- bZ7、2,955台(2026年3月10日〜5月15日生産、S2026M0126V)。前方認識カメラのOTA(無線アップデート)中に異常が起きることがあり、統合型クルーズアシストを使うとハンドルが意図せず動くおそれ。こちらも無償のソフト更新で直します。
広汽トヨタはアプリや電話でオーナーに連絡するとしています。
AutoCNによると、トヨタの中国製EVとしては発売以来最大規模のリコール。しかも対象は、トヨタの中国EV戦略を引っ張ってきたクルマです。bZ3Xは2025年3月に発売された、広汽と組んで中国で開発したモデルで、現地主導のEV開発に舵を切った象徴。発売後すぐに中国の合弁ブランドEVで売れ筋のトップクラスに入りました。bZ7も同じ現地化路線の産物です。CarNewsChinaによれば、bZ7は7月にもBluetoothモジュールと熱マネジメント制御のソフト不具合で約2万4,000台がリコールされていました。
そしてプラドも
4件目はEVではありませんが、当局が自ら動いた案件です。SAMRの欠陥調査を受けて、一汽トヨタ(成都)が2024年7月15日〜2026年10月6日生産の中国製ランドクルーザー・プラド(ハイブリッド)4万7,347台を、トヨタ自動車(中国)投資が輸入車のレクサスGX550h 8,130台をリコールします(SAMRの別の公告、IT之家)。外から力がかかると燃料ホースのクイックコネクターの固定具が浮き、衝撃でホースが外れて燃料が漏れるおそれがあるとのこと。販売店で点検し、保護カバーを付け、必要なら燃料ホースを交換します。
EVXの視点
日本から見て面白いのは、その内訳です。EVの対策3件のうち2件はソフトだけで直し、うち1件はそもそもOTAアップデートが原因。開発が速く、機能はOTAで配り、リコールも同じ方法で片付ける。いわば「中国流のクルマづくり」の光と影がそのまま出ています。トヨタはbZ3Xをそのやり方のお手本にしていて、日経クロステックは同車が従来のトヨタ系列ではなく中国系サプライヤーの部品を大きく採用したと報じています。bZ3XもbZ7も日本では買えません。ただトヨタは、開発中のマルチパスウェイの新プラットフォームを含め、ソフト主導のクルマを世界で増やそうとしています。中国でのこの修正がどれだけ素早く、すっきり終わるかは、東京からも注目しておく価値がありそうです。中国市場の厳しさも相変わらずで、10月はNEV小売が10%減。その中でbZ3Xは、日本ブランドのEVとして数少ない健闘組です。
出典:国家市場監督管理総局(SAMR)広汽トヨタのリコール公告(2026年11月4日)、SAMR 一汽トヨタ(成都)・トヨタ自動車(中国)投資のリコール公告、界面新聞、北京商報(新浪財経)、易車、IT之家、AutoCN、CarNewsChina、日経クロステック
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:中国の緑色NEVナンバーを付けた黒のトヨタbZ3X(2026年2月1日撮影)。写真:JustAnotherCarDesigner/Wikimedia Commons(CC0、トリミング・リサイズあり)
