テスラFSD、欧州で「踏みすぎ」禁止 オランダ当局が速度超過の上限10%を承認、12月のEU採決へ

テスラの運転支援ソフト、欧州では「アクセルの踏みすぎ」が許されなくなる。オランダの車両当局RDWは11月3日(火)、FSD(監視付き)の一連の変更を審査のうえ承認したと発表した。ドライバーが設定できる制限速度の超過幅は最大+50%から+10%に縮小。欧州での名称「Tesla Assisted Driving(TAD)」も、車内表示として正式に採用される。

対象はこのシステムを搭載したハードウェア4(HW4)以降のテスラ車で、変更は無線(OTA)アップデートで配信される。RDWの英語版リリースによると、中身は次のとおり。

  • ドライバーが設定する速度マージンの上限は+10%(従来は+50%)。
  • クルマを起動するたびにマージンは0%に戻り、ほかの速度関連機能もオフの状態から始まる。
  • 画面表示、取扱説明書など、ドライバー向けのあらゆる情報でFSD(監視付き)が「Tesla Assisted Driving」に置き換わる。

道路に置き換えるとわかりやすい。制限時速50kmの市街地なら、これまでの最大設定では時速75kmまで狙えたが、今後は55kmが上限。日中の制限が時速100kmのオランダの高速道路では、天井が150kmから110kmに下がる。

RDWのお墨付きが重い理由

RDWは4月にこのシステムへ欧州で最初の承認を出した当局で、その後に「イエス」と言った国はどこも、このオランダの承認を認める形をとってきた。つまり今回は新たな承認ではない。テスラが「軽微な変更」の審査をRDWに依頼し、RDWがそれを既存の承認に取り込んだという形だ。審査ではシステムの動作やクルマの挙動に悪影響や意図しない影響は見つからず、型式認可は同じ条件・同じ用途のまま有効で、修正や拡張の手続きも要らないという。

RDWは、承認を採用している9カ国(ベルギー、デンマーク、エストニア、クロアチア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、スロバキア、チェコ)にも変更を通知した。名称が変わってもシステムの中身は変わらない、とも念を押している。あくまで運転支援で、運転の責任はドライバーにある。

この流れには見覚えがある。先週ラトビアが10カ国目として承認した際も、同国の当局は速度上限の引き下げや、走行ごとにリセットされるオフセットを検討材料に挙げていた。今回はRDWがその数字を文書に落とし込み、1カ国ではなく承認全体に適用したことになる。

ドイツの「宿題」は提出済み

+10%という数字には根拠がある。ドイツ連邦交通省は10月6日の発表で、ビルガー交通相とテスラが9月に「最大10%」までの制限速度超過で合意したと説明し、FSDという名称は「やや誤解を招く」とした。テスラは「Tesla Assisted Driving」への改名を提案し、ビルガー氏はそれを前提にEU全体での早期承認を後押しすると表明していた。

ドイツの2つの注文は、これでどちらもオランダの書類に収まった。Not a Tesla Appは「ドイツ(ほか)が求めた変更そのもの」と書き、Drive Tesla Canada、Teslarati、TeslaNorthもRDWの発表から同じ内容を報じている。

EU全体の承認は、自動車技術委員会(TCMV)で27カ国中15カ国以上、かつEU人口の65%以上の賛成が必要になる。RDWは協議が非公開だとしてコメントしていない。採決は12月の見込みだ。承認済みの10カ国を足してもEU人口の約14%にすぎない。ドイツと、先週「賛成」に転じたイタリアを加えると、以前の私たちの試算で約46%。カギを握るのは引き続きフランスとスペインだ。

EVXの視点

テスラが手放したのは、欧州のドライバーがそもそも合法的にはほぼ使えない設定だ。その代わりに、12月の採決に向けた最大の反対理由を取り除いた。悪くない取引だと思う。同時に、米国以外の当局が監視付きの市街地走行に「イエス」と言う前に何を求めるかもはっきりした。厳しい速度上限、起動ごとの安全側の初期設定、そして実力以上を約束しない名前だ。日本にとっても他人事ではなく、タイミングもほぼ同じ。国土交通省は本日11月4日(水)午後2時〜4時30分(日本時間)/米東部時間4日午前0時〜2時30分に車両安全の検討会を開き、議題にはFSD(監視付き)が当てはまる「L2++」の認証制度を検討するワーキンググループの設置が含まれている(月曜にお伝えしたとおり)。日本でテスラのシステムが承認される日が来るなら、欧州の条件がたたき台になると見ておくのが自然だろう。+10%なら、制限時速100kmの高速道路で約110km。FSDをすでに購入済みの日本のオーナーなら、その条件でも喜んで受け入れるはずだ。

RDWはアップデートの配信時期を示していない。承認済みの10カ国のオーナーには、今後のソフトウェア更新で新しい名称と絞られた速度メニューが届く見込みだ。国交省は、本日の検討会の資料を終了後に公開するとしている。

出典:RDW(英語・オランダ語の発表)、ドイツ連邦交通省、Not a Tesla App、Drive Tesla Canada、Teslarati、TeslaNorth、国土交通省

— EVX News 編集部

アイキャッチ画像:オランダ・アムステルダムのテスラ・モデルYのタクシー(2025年6月)。写真:S5A-0043 / Wikimedia Commons、CC BY 4.0(トリミングあり)

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