イタリアが「賛成」に転換 サルヴィーニ交通相、マスク氏との会話後にテスラFSD(監視付き)のEU早期承認を支持

イタリアが「テスラの監視付き自動運転ソフトを早く欧州の道路に」と言い出しました。副首相兼インフラ・交通相のマッテオ・サルヴィーニ氏は29日、イーロン・マスク氏と「とても前向きで建設的な会話」をしたと明かし、イタリアは「テスラ・アシステッド・ドライビングのEUによる迅速な承認を支持する」と表明しました。テスラ・アシステッド・ドライビングは、FSD(監視付き)の欧州での呼び名です。

投稿は10月29日(木)午後5時21分(日本時間)/米東部時間同日午前4時21分。全文は「イタリアは、イノベーションと交通安全を重視しつつ、運転支援技術がもたらす機会に大きな関心を寄せており、テスラ・アシステッド・ドライビングのEUによる迅速な承認を支持する」というものです。

投稿:@matteosalvinimi(X)

これはかなりの方向転換です。イタリアはこれまで「慎重派」の大国でした。オランダの承認を独自に認めることはせず、イタリアの自動車メディアMotorzoomは、フランス、ドイツ、スペインと並んでEUの採決を10月の議題から押し出した国の一つに挙げていました。コリエーレ・デラ・セラ紙も、この案件は安全性の検証で長く足踏みしていたと書いています。そのローマが、今度はブリュッセルに「急いで」と言っているわけです。

なぜ一国の発言がここまで重いのか

欧州でのテスラの行方を握るのは、一般のドライバーはまず耳にしない委員会、自動車技術委員会(TCMV)です。オランダの規制当局RDWは4月にFSD(監視付き)を国内承認しました。これをEU全体の承認に広げるには特定多数決が必要で、27加盟国のうち15カ国以上、しかもEU人口の65%以上を占めなければなりません。

国内で「OK」を出した国はすでに10カ国。オランダ、ベルギー、チェコ、デンマーク、クロアチア、リトアニア、スロベニア、エストニア、スロバキア、そして26日(月)に10カ国目となったラトビアです(ラトビアの承認と、その直前のスロバキアの記事もどうぞ)。ただ、ユーロスタットの人口で足し合わせると約6,400万人、EUのおよそ14%にすぎません。国旗の数は多いのに、票の重みはまだ軽いのです。

イタリアだけで人口は約5,900万人、EUの約13%。最大の人口を抱えるドイツも、EU全体での早期決定を支持する立場です。Numeramaと各国の状況をまとめたNot an FSD Trackerによると、ドイツ交通省は10月6日にその考えを示しています。承認済みの10カ国にイタリアとドイツを加えると、EVX News編集部の計算で人口の約46%。大きな前進ですが、65%にも15カ国にもまだ届きません。カギを握るのはフランスとスペインで、フランスの交通相はEU承認を支持する前に技術的な修正と公道試験を求めています。

次の採決の機会はTCMVの12月の会合。Numeramaは12月1日と伝えています。

「自動運転」ではない、そこがポイント

コリエーレ紙は、イタリアが何を支持したのかを丁寧に説明しています。テスラ・アシステッド・ドライビングはクルマを自律走行させるものではなく、ドライバーは常に注意を払い、いつでも操作を引き継げる状態でいる必要があります。米国で「FSD(監視付き)」として売られているのと同じ考え方です。この位置づけが各国の承認を後押ししてきましたが、条件付きの承認もあります。Numeramaによると、ラトビアは速度を抑え、ドライバー監視を強める修正を加えてからゴーサインを出しました。

テスラが規制当局に示す材料は自社のデータです。最新の安全レポートでは、北米でFSD(監視付き)を使った場合の重大事故は600万マイルに1回。欧州の当局は独自に試験を行いますが、大国の大臣が承認の理由に「交通安全」を挙げたのは、テスラにとって何よりの追い風でしょう。

イタリアの通信社LaPresseやハフポスト・イタリアも数時間のうちに報じました。会話の詳細は、サルヴィーニ氏もテスラも投稿以上のことは明かしていません。

れすちゃんのひとこと

欧州は毎週ちょっとずつ近づいていて、僕は東京から毎週ニュースを更新しています。雪が積もったか確かめる子どもみたいに。イタリアが「急いで」と言ったのは大きいですよ。なにしろローマの交通事情を生んだ国です。そこの当局が「監視付きFSDで道路が安全になる」と考えるなら、ロータリーでベスパの大群をさばくところをぜひ見てみたい。テスラ4台すべてでFSDを買って、そのあと使えない国に引っ越してきた僕は、たぶん世界一気の長いベータテスターです。欧州のみなさん、12月はぜひ賛成票を。日本の関係者のみなさんも、これ読んでますよね?

出典:マッテオ・サルヴィーニ氏のX投稿、コリエーレ・デラ・セラ、LaPresse、ハフポスト・イタリア、Numerama、Motorzoom、Not an FSD Tracker

— れすちゃん(EVX News)

アイキャッチ画像:イタリア・ミラノのガエ・アウレンティ広場にあるテスラストア。写真:Moliva / Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0(トリミングあり)

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れすちゃん
れすちゃんhttps://evxnews.com
れすちゃん(Lester Miyashiro)。EVX News創設者・編集長として、EVX News Deskの報道全体を統括。東京在住のアメリカ人フォトグラファーで、自他ともに認める「テスラ沼」の住人。2020年にはYouTubeチャンネル『Teslaloha』を開設。日本で最も早くテスラのニュースを発信したチャンネルのひとつ。5年で4台(モデルY×3、モデルX×1)を乗り継ぎ、現在の相棒はモデルY「Juniper」。FSDは4回購入という筋金入り。ついに今のFSDの実力を満喫できた…と思った矢先、FSD未承認の日本へ移住。まさかの振り出しに戻り、今日も自分の手でハンドルを握っている。だからこそ、日本のFSD解禁のニュースには誰よりも目を光らせている。日本のEV・エネルギー・ロボットのニュースを英語圏へ、テスラとスペースXの最新情報を日本へ。愛車がまた自分で走ってくれる日を待ちながら、今日も記事を届けている。

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