シップ42、宿題はすべて提出済みです。スペースXは28日、スターシップ飛行試験15回目(フライト15)に使う宇宙船「シップ42」の燃焼試験が完了したと発表しました。ラプターエンジン6基すべてのフル燃焼に加え、軌道離脱噴射を模した1基だけの燃焼も実施。ブースター側もすでに試験を終えており、史上初の「宇宙船キャッチ」に挑む予定のフライト15は、両段とも試験スタンドでの関門を通過しました。
スペースXは10月29日(木)午前1時10分(日本時間)/米東部時間28日午後0時10分にXで発表し、試験スタンドとエンジン室内からの映像を公開しています。
まず1基、それから6基
試験はテキサス州スターベース近くのマッシーズで立て続けに行われました。1基だけの燃焼は現地時間26日(月)夜で、NASASpaceflightが生中継しています。6基の燃焼は日本時間28日(水)午前6時45分ごろ(米中部時間27日午後4時45分ごろ、米東部時間同日午後5時45分)で、燃焼時間は60秒強だったとStarlustとNext Spaceflightが伝えています。
なぜ先に1基だけ点火するのか。実際のミッションでは、6基を全部使うとは限りません。軌道から地球へ戻るための軌道離脱噴射は1基でも行えるので、宇宙で本番を迎える前に地上でそのモードを確かめておくわけです。Starlustによると、スターシップV3のこれまでの3回の飛行はいずれもこの手順で準備されました。ブースター22は25日(日)に33基のラプターをすべて点火するフル燃焼を済ませ、すでにメガベイ1へ戻っています。
シップ42は次にメガベイ2へ移り、最終艤装とスターリンクV3衛星の搭載に入ります。残るのは格納庫では作れない部品、つまりFAA(米連邦航空局)の打ち上げ許可です。まだ発行されておらず、公式の打ち上げ日も未定。報道では11月が有力とされています。
両段キャッチ、そしてフロリダへ
フライト15の目玉は、スーパーヘビーとスターシップ上段の両方を発射塔の「箸」でキャッチする挑戦です。マスク氏が決算説明会で明言した計画で、EVX Newsでもそのロードマップやフライト15の見どころを紹介してきました。ブースターのキャッチはもう何度も成功していますが、軌道から戻ってくる宇宙船はまだ一度もありません。まず大気圏再突入を生き延び、お腹を下にして落ちてきて、最後の最後でくるりと立ち上がる。別物の難しさです。Tesla Oracleによると、シップ42が火を噴いている間、発射塔の箸はシップ43を持ち上げたり下ろしたりしてキャッチの練習をしていました。
シップ43はただの練習台ではありません。NASASpaceflightによると、シップ43とブースター23はフライト16の組み合わせで、ケネディ宇宙センターの39A発射台から初めて打ち上げるスターシップとしてフロリダへ船で運ばれる見込みです。スペースXは2つの機体の準備を並行して進めています。
フロリダではもう予定表が空けられています。Drive Teslaによると、スペースXは発射台の準備のため、フロリダからのファルコン9打ち上げを少なくとも6週間止めます。Florida Todayによれば、打ち上げ担当副社長のキコ・ドンチェフ氏は10月21日、ココアで開かれたイベントで「次のファルコン9まで6週間の空白がある」と話し、スターシップにとって「いよいよ本番」の合図だと語りました。39Aのスターシップ用設備は「事実上完成」で、巨大格納庫ギガベイの扉の取り付けが残っているとのこと。フロリダ最後のファルコン9は10月20日でした。
テキサスで造った機体は、その名も「You’ll Thank Me Later(あとで感謝するよ)」という自社のはしけでフロリダ半島をぐるりと回り、ポート・カナベラルへ運ばれます。ドンチェフ氏によると、フロリダ初のミッションではブースターが39Aでキャッチに挑み、宇宙船は地球を約6周してからスターベースに着陸する計画です。フロリダからテキサスへの直行便、ただし地球一周コース。その間もファルコン9はカリフォルニアのヴァンデンバーグとテキサスから飛び続けます。
FAAに年1万回の打ち上げを伝えたばかりの会社にとって、スペースコーストの静かな6週間は、いわば先行投資です。
出典:スペースXのX投稿、NASASpaceflightのX投稿(2)、Next Spaceflight、Starlust、Tesla Oracle、Drive Tesla、Florida Today
— EVX News編集部
アイキャッチ画像:テキサス州スターベース・マッシーズの試験スタンドで6基のラプターエンジンを燃焼させるシップ42。画像:SpaceX(公式動画より)
