テスラがベトナムにやって来ます。今回は登記簿から掘り出したうわさ話ではありません。テスラのアジア太平洋地域の採用担当マネージャー、リッキー・イップ氏がXで「テスラは正式にベトナムに進出します。そして採用中です」と投稿し、テスラ公式の採用サイトにベトナム勤務の正社員ポジション5件を並べました。
投稿は10月28日(水)午後4時41分(日本時間)/米東部時間同日午前3時41分。募集職種はセールスマネージャー、サービスマネージャー、HRビジネスパートナー、購買マネージャー、そして充電プロジェクト開発担当です。5人で販売開始とはいきませんが、骨組みとしては十分。なかでも充電担当の募集が、本気度をいちばんよく物語っています。
求人票からわかること
Eletric Vehiclesが引用した求人票によると、セールスマネージャーは「カントリーマネージャー」の直属で、「店舗や納車拠点」のチームを率い、販売実績や納車、現地の登録手続きまで担当します。そのカントリーマネージャーはまだ誰なのか明かされておらず、今回の5件にも入っていません(どこかで面接がもう始まっているのかもしれません)。
サービスマネージャーはサービスチームを立ち上げ、日々の運営を回す役目。求人票には自動車業界の経験は「必須ではない」とあり、いかにもテスラらしいところです。充電プロジェクト開発担当は、テスラの充電設備を置く場所を探し、土地や建物のオーナーと交渉し、電力会社への接続や許認可を進める仕事だとDrive Teslaは伝えています。ベトナムのVnExpressによれば、この職には「段階の異なる20件以上のプロジェクトを同時に管理できる」人材が求められています。ショッピングモールに壁掛け充電器を2台置くだけなら、こんな人は要りません。
残る2件は事務所まわりの体制づくりです。VietnamFinanceによると、購買マネージャーはテスラのアジア太平洋地域の間接購買チームに属し、勤務時間の約20%は出張。HRビジネスパートナーはオフィスや設備の管理も兼ねます。5件のうち3件は5年以上の経験が条件です。
書類の次は人
採用は登記に続く第2段階です。TechNode Globalによると、現地法人「Tesla Motors Vietnam LLC」は9月11日にホーチミン市で登記され、資本金は776億6,700万ドン(約4億7,500万円)。事業目的は自動車の卸売・小売、部品、輸出入などです。5件の求人のどれにも工場や組み立ての話は出てこないので、いまのところは販売・サービス・充電の拠点づくりと見てよさそうです。
まだわかっていないのは、発売時期、販売モデル、価格、ショールームの場所。TeslaNorthは、テスラの採用ポータルの求人カードには都市名すら書かれていないと指摘しています。テスラとしての公式発表も、今のところ採用担当者の投稿だけです。
乗り込む先はVinFastの本拠地
ベトナムはEV専業メーカーVinFastの地元で、しかも販売トップです。TechNode Globalによると、8月のベトナムの新車販売は4万8,484台で、そのうちVinFastが2万161台、シェア42%を占めました。テスラの相手はガソリン車というより、先行して自前の充電網まで持つ地元のEVブランドということになります。
アジアの市場をひとつずつ埋めていくテスラの動きの一環とも言えます。日本で売られているテスラはギガ上海製で、最近も新型モデル3・モデルYのV2L対応のように、日本のオーナー向けの細かな改善が続いています。
ベトナムは日本と違って右側通行なので、必要になるのはギガ上海がすでに輸出向けに作っている左ハンドル車。ただ、ベトナム向けの車をどこから持ってくるのか、テスラはまだ何も言っていません。最初に席が埋まるのは、たぶんあの充電担当。探すべき場所は少なくとも20か所あります。
出典:リッキー・イップ氏(テスラ)のX投稿、Drive Tesla、TeslaNorth、TechNode Global、VnExpress、VietnamFinance、Eletric Vehicles、ソーヤー・メリット氏のX投稿
— EVX News編集部
アイキャッチ画像:夕暮れのサイゴン川とホーチミン市のスカイライン、ランドマーク81。写真:Radek Kucharski / Wikimedia Commons(CC BY 2.0、トリミングあり)
