テスラのメガパック、米コロラドの電力協同組合へ 200MWhの蓄電ポートフォリオ

テスラのメガパックが米コロラド州のフロントレンジに入る。マディソン・エナジー・インフラストラクチャーは日本時間10月27日(米国時間10月26日)、CORE電力協同組合向けに出力50MW・容量200MWhの蓄電池ポートフォリオを州内3カ所に建設すると発表した。機器はすべてテスラのメガパックで、2027年9月までの商業運転開始を目指す。

マディソンの発表によると、同社の分散型蓄電としては過去最大の案件だという。テスラ目線で注目したいのはその次の一文だ。COREの3サイトは、マディソンとテスラが結んだ5,000万ドル(約79億円)の契約で支える「最初期の」プロジェクトの一つ。単発の発注ではなく供給契約の一本目で、マディソンはこの先も積み増す構えだ。

37万5,000人を支える協同組合、課題はピーク需要

COREはコロラド州中部の約5,000平方マイル(約1万3,000km²)をカバーする組合員所有の電力会社で、フロントレンジ沿いの37万5,000人以上に電気を届ける。米国でも最大級の電力協同組合だ。蓄電池を入れる理由はいたって現実的で、COREのエネルギー供給責任者クリス・ヒルドレッド氏は「電力需要が伸びる中、この蓄電でピーク需要を管理し、電力コストを抑え、安定供給を保てる」と話す。プロジェクトは「計画から建設段階へ」移るという。

計算はシンプル。出力50MW・容量200MWhなら、フル出力で4時間放電できる。太陽光が落ち、みんなが帰宅して家電をつける夕方のピークにちょうどいい長さだ。一方でThe Duck Curveが指摘するとおり、発表には3サイトの場所も契約金額も書かれていない。

マディソンとCOREの話自体は初出ではない。マディソンは9月18日、2028年までに分散型エネルギー1GWを追加し、最大20億ドル(約3,150億円)を投じる「コミュニティ・インフラ」構想を打ち出し、その第1号としてCORE向け50MWの単独型蓄電を挙げていた。今回の発表で容量、サイト数、時期、そして機器(テスラ)が埋まった形だ。マディソンはEQTが出資する企業で、CEOのリチャード・ウォルシュ氏はデータセンターや新工場で逼迫する電力網に、地域単位で容量を足していく取り組みと位置づけている。

コロラドはじわじわ「メガパックの州」に

コロラド州で200MWh級のメガパック案件が出るのは、この2カ月で2件目だ。9月には開発会社クラウドブレイク・エナジーが、ブラックヒルズ・エナジーのプエブロ空港発電所に50MW・4時間のプエブロ・バッテリー・リソースを建設すると発表した。こちらはメガパック50台を使い、周辺設備はLinxonが担当、2027年後半の運転開始予定。2件を合わせると、コロラドでは2027年後半までに約400MWhのテスラ製蓄電が動き出す計算になる。

(プエブロ案件の小ネタ:蓄電池の設置場所はガス火力発電所の敷地内。同じ土地に新しい住人が来て、しかも燃料の配達はいらない。)

テスラにとって、こうした案件は事業の「安定収入」側だ。2026年第3四半期決算では、蓄電事業の受注ペースと受注残が過去最高となり、四半期の導入量は13.7GWh、メガファクトリー・テキサスでメガパック3の生産も始まった。13.7GWhに比べれば200MWhは誤差の範囲。それでも、ニュースにならない電力会社から、マディソンのようにまとめ買いを約束したパートナー経由で、こうした注文が途切れず入ってくることに意味がある。

最近のエネルギー関連ニュースも同じ流れだ。台湾のアポロ・パワーは今月、AI時代の電力需要に向けてメガパック1GWhを発注し、テスラの太陽光関連工場「プロジェクト・クリスタル・サン」はテキサスで優遇措置の承認を得た。発電所を建てるより速く容量が要る。そのとき一番早い解決策が、白い箱を並べたフェンスの中というわけだ。

Drive Tesla CanadaとNorth American Clean Energyも同日にこの案件を報じた。次の注目点は、CORE 3サイトの建設の進み具合と、テスラとの5,000万ドル契約の残りをマディソンがどう使うかだ。

れすちゃんのひとこと

5年で4台目のテスラに乗っていて気づいたこと。テスラの決算資料は、だいたい最後のほうでメガパックのページが出てくる。スラスター付きロードスターほどの歓声は上がらないけど、コロラドの37万5,000人の電気を文字どおり支えているのはこっちだ。毎晩4時間、全力で、何事もなく。ひとつだけ言わせて。コロラドには200MWhのメガパック基地が2つもできるのに、4台全部でFSDを買ったぼくは、日本でまだFSDを待っている。メガパックを何台か差し出すから、FSDの認可をひとつください。テスラジャパンさん、連絡お待ちしてます。

出典:Madison Energy Infrastructure / PR Newswire、Drive Tesla Canada、North American Clean Energy、The Duck Curve、Madison(9月18日の構想発表)、Cloudbreak Energy、テスラ2026年第3四半期アップデート。Not a Tesla Appは発表時点でCORE案件を報じていなかった。円換算は1ドル=約157円。

— れすちゃん(Lester Miyashiro)、EVX News

アイキャッチ画像:太陽光発電所の横に並ぶテスラのメガパック。テスラ公式Xの大規模蓄電に関する投稿より(コロラドの各サイトではありません)。画像:Tesla(X)(トリミング)。

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れすちゃん
れすちゃんhttps://evxnews.com
れすちゃん(Lester Miyashiro)。EVX News創設者・編集長として、EVX News Deskの報道全体を統括。東京在住のアメリカ人フォトグラファーで、自他ともに認める「テスラ沼」の住人。2020年にはYouTubeチャンネル『Teslaloha』を開設。日本で最も早くテスラのニュースを発信したチャンネルのひとつ。5年で4台(モデルY×3、モデルX×1)を乗り継ぎ、現在の相棒はモデルY「Juniper」。FSDは4回購入という筋金入り。ついに今のFSDの実力を満喫できた…と思った矢先、FSD未承認の日本へ移住。まさかの振り出しに戻り、今日も自分の手でハンドルを握っている。だからこそ、日本のFSD解禁のニュースには誰よりも目を光らせている。日本のEV・エネルギー・ロボットのニュースを英語圏へ、テスラとスペースXの最新情報を日本へ。愛車がまた自分で走ってくれる日を待ちながら、今日も記事を届けている。

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