アマゾン傘下のZooxが、欧州とアジアにデータ収集車両を送る計画を示し、CEOのアイシャ・エバンス氏はロンドンなどEU都市に加え、日本と韓国を候補に挙げた。発言は11月4日(水)のWSJ Tech Live。海外艦隊がいつ米国外へ出るか、専用ロボタクシーがいつ続くかの公表スケジュールはない。
最初の一手は、Zooxの看板であるトースター型ロボタクシーではない。エバンス氏によると、海外でも米国内の新都市と同じ手順で、センサー付きトヨタ・ハイランダーSUVが安全運転者のもとで地図を作り、監視付き自動運転試験のあと、有料乗客を運ぶ専用車に進む。Drive Tesla Canada、Reuters(TradingView経由)、ServoSpaceがWSJ報道を伝えた。エバンス氏によると、Zooxは現在サンフランシスコやラスベガスなど米数都市で約150台のロボタクシーを運行している。
短いリストに日本と韓国
エバンス氏が挙げた「ターゲットリスト」はロンドン、他のEU都市、韓国、日本だ。これは運行開始の発表ではない。東京・大阪・ソウルなど具体名もなく、どの当局と話を始めたかも言っていない。米国内のZoox文書でも、手順は手動マッピング→介入ログ付きの監視走行→専用キャブと長い。ハイランダーでの一般乗客サービスはない。
それでも日本をロンドンと同列に置いた意味はある。日本には区域限定のレベル4制度があり、ハンドルなし車両の認証も書き換えが進み(国交省の動き)、Waymoは2027年にトヨタbZ4Xベースのロボタクシー試験を予定する。グローバルなロボタクシー勢がもう1社「日本」と口にすれば、テスラ、ティアフォー、チューリング、タクシー事業者にとって競争温度は上がる。
東京から見たZooxとテスラ
Zooxの製品は双方向・ハンドルなしの専用ポッドだ。テスラのCybercabも専用・ハンドルなしで、テキサスとフロリダではモデルYの無監視Robotaxiが走り、オースティンではCybercabが増えている(フリート構成、フォートワース)。Zooxが示す米国内約150台は、テスラのテキサス登録だけでも桁が違う。Zooxにあってテスラにないのは、アマゾンの物流地図と、最初から消費者向け市販車ではなかったことだ。
ハイランダーという事実自体が日本向けのひねりだ。データ収集車はトヨタ製。もし日本の路上にZooxセンサー付きハイランダーが現れれば、アマゾンのロボタクシーが日本を学ぶキロをトヨタ車が稼ぎ、一方でトヨタはWaymoと別路線でも組む。矛盾というより、日本の自動運転レーンが混んできたスナップショットだ。
もう一つの制約は、テスラが大都市のジオフェンスを一気に開く一方で、Zooxは米国内でも慎重に広げてきたことだ。日本のマッピング艦隊は、遠隔監視の帯域、保険パートナー、国交省の手続きがセンサー以上に効く市場に入る。すでに日本のOEMやタクシーと関係がある会社が有利で、Zooxはそれを築くか、アマゾンが買う必要がある。
次に見るサイン
スライドの野望と本番を分けるのは3つだ。国交省への申請や協議、日本の路上で撮られたZooxセンサー付きハイランダー、都市名の明示。どれかが出るまで、エバンス氏のリストは意図として扱う。WSJの場は、日付を縛らずにWaymoやテスラの隣へZooxを置くためのものだった。
EVXの視点
日本に必要なのは記者会見用のロボタクシーではなく、国交省の書類と保険と地元政治を生き延びる艦隊だ。Zooxが日本と名指ししたのは、アマゾンもテスラやWaymoと同じ規制ウィンドウを見ていると東京に伝える点でまだ意味がある。日本の乗客にとって当面は小型レベル4シャトルと、その後のWaymo-トヨタ試験が現実味だ。日本のサプライヤーにとっては、地図・遠隔監視拠点・整備デポを要する海外勢が増えるほど顧客が増える。「日本に来るか」ではなく「誰が先に車を出すか」のレースだ。
出典:Drive Tesla Canada;Reuters/WSJ(TradingView);ServoSpace;Vector Wire。一次発言:Aicha Evans氏、WSJ Tech Live(2026年11月4日)。
— EVX News編集部
アイキャッチ:サンフランシスコのZoox自律ロボタクシー(2025年5月)。写真:9yz/Wikimedia Commons(CC BY 4.0、トリミング・リサイズあり)。
