中国の道路には、ナビのルートに沿って自分でハンドルを切るクルマが、すでに約1,500万台走っています。中国信息通信研究院(CAICT、中国信通院)によると、2026年8月末時点でNOA(ナビゲーション連動の運転支援)を備えた乗用車は約1,500万台。L2レベルの運転支援を積んだ乗用車は約6,100万台にのぼります。もちろん、どちらもドライバーの監視が前提です。
数字が披露されたのは、10月21〜23日に北京・亦庄で開かれた「2026世界智能網聯汽車大会(World Intelligent Connected Vehicles Conference)」。工業情報化省(MIIT)、交通運輸省、北京市政府の共催です。IT之家が24日に中国信通院の発表を伝え、CnEVPostはNOA搭載車がL2搭載車全体の約25%にあたると計算しています。
ポイントは「保有台数」だということ。今年の販売台数ではなく、いま道路を走っているクルマの数です。日本の乗用車保有台数は軽を含めても約6,200万台。中国はL2搭載車だけで、それに迫る規模になっています。
コネクテッド化の数字も
中国信通院は、5G通信端末を積んだ乗用車が約1,600万台、信号機や路側機と通信できるC-V2X端末を積んだ乗用車が約200万台あるとも明らかにしました。中国が進める「車・路・クラウドの一体化」の部分で、海外メーカーの多くがあまり手を出していない領域です。
同じ場で、工業情報化省装備工業一司の郭守剛司長は『国家車聯網技術標準体系建設指南(2026年版)』の意見募集稿を公表しました(半両財経/騰訊新聞、IT之家)。中国はこの分野で400件以上の標準づくりに取り組み、組合せ運転支援、自動運転システム、自動緊急ブレーキ、車両サイバーセキュリティなどの国家標準をすでに出しています。改訂版では、システム構成や中核部品、全体の安全性に関する要件を強化し、自動運転を「運行・サービス」として提供するための標準も整える方針です。
次はL3
CnEVPostが財聯社の報道として伝えたところでは、郭司長はL3自動運転車の市場参入試行の第2弾の作業が進んでいるとも述べました。メーカー名や車種、時期は明かしていません。第1弾の長安汽車と北京汽車(BAIC)のL3車は2025年12月に条件付きで承認されましたが、使えるのは指定区間と特定の条件に限られています。
クルマが自分で運転していることを周りにどう知らせるかも決まりつつあります。数日前に公表された中国の標準案では、L3以上の車両に付ける自動運転表示灯の色をターコイズとし、2028年の導入を目指します。米国でNHTSAが先週提案したロボタクシー向けのシアン色ランプとほぼ同じ発想で、両市場が同じ未来を見ているのがわかります。
NOA 1,500万台が意味するもの
このNOA車の多くを動かしているのは、ファーウェイ、小鵬(Xpeng)、理想(Li Auto)、BYD、そしてMomentaやHorizon Roboticsといったサプライヤーのシステムです。比較の物差しはどれも同じで、テスラのFSD(Supervised)。違うのはアプローチで、テスラは車両から集めた映像で学習した単一のエンドツーエンドのニューラルネットで走ります。中国勢はニューラルネットにLiDARを組み合わせるものが多く、高精度地図に頼るものもまだありますが、安いクルマへの広がり方が速い。小鵬の頭脳を積んだフォルクスワーゲンのID. UNYX 09は、こうした機能がどこまで手頃な価格帯に降りてきたかを示す一例です。
日本の歩みはもっとゆっくりです。トヨタはエンドツーエンドの「レベル2++」を2028年に市販車へ載せる計画で、テスラのFSD(Supervised)はまだ日本のユーザー向けに認可されていません。そのあいだに中国では、L2車の4台に1台がすでにルートを自分でたどれる。日本で最初の波が来るころには、中国の数字は1,500万台をとっくに超えているはずです。
出典:IT之家、半両財経/騰訊新聞、駆動中国、AutoCN、CnEVPost。数値は中国信息通信研究院(CAICT)と工業情報化省による。
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:中国でAITO M8に搭載されたファーウェイの運転支援「乾崑ADS 4」が作動している様子(2026年1月)。写真:RichardBi0129(Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0、トリミングあり)
