テスラModel Y、Green NCAPで過去最低のライフサイクル排出量「95g」 5つ星の決め手は工場データの公開

テスラModel Yが、欧州の環境評価で新記録を打ち立てました。クルマの「一生分」の環境負荷を評価する欧州の独立プログラム、Green NCAP(グリーンNCAP)が、ベルリン工場製のModel Y後輪駆動(RWD)に最高評価の5つ星(総合93%)を付与。原材料の採掘から製造、走行までを含むライフサイクル全体の温室効果ガス排出量は1kmあたり95g(CO2換算)で、Green NCAPがこれまでに公表した中で最も低い数字です。

結果の公表は10月29日(木)(現地時間)。テスラの欧州公式アカウントもさっそくXで報告しています。自慢したくなるのも無理はありません。

投稿:@teslaeurope(テスラ欧州・中東・アフリカ)のX

「95g」がすごい理由

ライフサイクル排出量は、ふつうは推定だらけになりがちです。多くのメーカーは工場のデータを出さないため、Green NCAPは車両や電池の製造について一般的な前提値で計算します。その前提はどうしても保守的です。今回テスラは、Model Yの車両と電池の製造データをGreen NCAPに提出し、専門家による検証を受けました。テスラがこうしたデータを提供するのは初めてで、Green NCAPは「メーカーとして模範的な透明性」と評価しています。

この検証済みデータが決め手でした。温室効果ガス部門で満点の10点を取るには、110g/km未満が条件です。Model Yはそれを15gも下回りました。しかも軽量なシティカーではなく、車重1.9トンのSUVでの記録です。Green NCAPは、テスラが車両・電池工場で講じた排出削減策について「効果を上げている」と述べています。

比較対象もわかりやすい。Green NCAPは同クラスのガソリン・マイルドハイブリッドSUV、フォルクスワーゲン・タイロン1.5 eTSIを2つ半星(41%)と評価し、ライフサイクル排出量は263g/km。Model Yのほぼ3倍です。

実走テストの中身

実測データも好成績です。気温35℃の真夏に行った一般道の混合走行では電費15.2kWh/100km、短距離の市街地走行では12.7kWh/100km。寒さに弱いのはEVの宿命で、マイナス7℃の冬季コールドスタート試験では30.5kWh/100kmに増えましたが、車をあらかじめ暖めておいた同じ試験では21.2kWh/100kmで済みました。Green NCAPのアドバイスは「出発前にプレヒートを」。テスラオーナーの皆さんには耳なじみの話ですね。

車内の保温性も高く評価されました。コールドスタートから4〜8分で目標の16℃に到達し、マイナス7℃の屋外で30分間ロックして放置しても、車内温度は5.2℃しか下がりませんでした。断熱性能が「良好」と判定されたクルマは数少なく、「電費と航続距離」「冬季性能」の両方で「良好」を得たのは、これまでにModel Yを含めて2台だけだそうです。DC急速充電は10%から80%まで24分でした。

減点ポイントは一つ。欧州仕様のModel Yには双方向充電(V2L/V2G)がない点です。ここは日本のオーナーが少しうれしくなるところで、日本向けの新しいModel 3とModel Yは今月V2Lに対応したばかり(アダプターは1月から)です。

日本のModel Yには当てはまる?

今回の評価対象は欧州で売られているベルリン製のModel Yで、低い数値はその工場のデータに基づいています。日本のModel Yは上海工場製なので、95gという数字がそのまま当てはまるわけではありません。とはいえ電費や寒冷時の性能はクルマそのものの実力で、日本で最も売れている輸入車にとって心強いデータです。

Green NCAPは同時に、BYDドルフィン・サーフ(5つ星・96%、製造データは一般前提値で評価)、スズキeビターラ(4つ半星・87%)、ディーゼルのフォルクスワーゲン・ゴルフ(3つ半星・69%)の結果も公表しました。Green NCAPによると欧州では昨年約15万人がModel Yを購入しており、ギガ・ベルリンは先日1週間で7,000台を生産しています。次は、どのメーカーが自社の帳簿を試験機関に開いてみせるか、です。

出典:Green NCAPプレスリリース、Green NCAP Model Y評価ページ、テスラ欧州のX投稿、Drive Tesla、TeslaNorth

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:2025年型テスラModel Y(正面)。写真:Dllu / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、トリミングあり)

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