ハンドルのないテスラ・サイバーキャブが来月ダラスへ。しかも年内には一般の顧客への引き渡しも始めたいという。10月22日(木)午前6時30分(日本時間)/米東部時間21日午後5時30分に始まった第3四半期決算説明会で、テスラ幹部がそう明言した。FSDオーナーにとって一番気になる日付も出た。2027年第2四半期ごろ、顧客のクルマを初めてロボタクシー車隊に組み込む見通しだという。
決算の数字そのものは第3四半期決算の速報記事でまとめた。説明会で出てきたのはスケジュールのほうだ。幹部たちが自分の言葉で何を約束したのか、順に見ていく。
まずダラス、その先は「多くの都市」へ
株主質問プラットフォーム「Say」で最初に選ばれた質問は、サイバーキャブの車隊をオースティンの外へどう広げるのか、そして「NHTSAの安全調査が続く中で」規制面の道筋はどうなるのか、というもの。AI部門トップのアショク・エルスワミー氏は、オースティンが最初だったのは単にそこに車両があったからだと答えた。説明会の書き起こしによると、「オースティンに限られる根本的な理由はない。実際、来月にはダラスで始め、同じソフトウェアをモデルYのロボタクシーとともに多くの都市に広げていく」と語っている。
Not a Tesla Appは、テスラの新しい安全性サイトに関する記事を更新し、ダラスでは一般向けに監視なしのサイバーキャブ乗車が提供されると伝えた。同サイトにはすでにラスベガス、ジャクソンビル、フェニックス、サンアントニオが「近日開始」として並び、オースティンのサイバーキャブは300台を超えた。イーロン・マスク氏によると、約1か月前の開始時から「10倍」に増えたという。ヴァイバヴ・タネジャCFOは、年内にほかの都市でもサイバーキャブを走らせる計画だと付け加えた。
サイバーキャブは買える?(いちおう)
いつ購入できるのかという質問に、車両エンジニアリング担当のラース・モラビー氏の答えは短かった。「2026年、つまり今年中に顧客へ届けようとしている」。現在はギガテキサスのラインから出てくる車両はすべてテスラ自身の車隊に入っている。「テスラは今後、主に完全自動運転を前提に設計したクルマを顧客に届けることになる。その最初がサイバーキャブだ」とし、「今年は小さく始める」とも述べた。
自宅のガレージに置く姿を想像した人には、マスク氏が少し水を差した。「サイバーキャブは主に、移動サービスとして提供するもの。大部分は基本的にテスラ所有になる」。個人が持つクルマはこれまでどおりモデル3とモデルY、「それにもちろんロードスター」だという。Teslaratiは、テスラが以前から約3万ドル(約450万円)という価格を示してきたことに触れている。
生産がボトルネックになる気配はない。モラビー氏によれば、サイバーキャブは「これまで作ったどのクルマより部品が50%少ない」。ラインを一時的にフル稼働させてどこまで速く回せるか試しており、実際の能力は公表している年12万5000台超を「大きく上回る」という。今はロボタクシー事業が必要とするペースに合わせて作っている。
自分のモデルYがロボタクシーに:2027年第2四半期ごろ
オーナーが一番知りたいのは4番目の質問だった。FSD(監視なし)はいつ顧客の車に来るのか。エルスワミー氏は、サイバーキャブとロボタクシー仕様のモデルYで動いているソフトは同じで、「近いうちにV15の一部として顧客に同じソフトを出せる」と説明。残る課題は、顧客の車をテスラのジオフェンスと車隊管理の仕組みに入れることだ。
「来年の第2四半期ごろには、最初の顧客車両の一部をロボタクシー車隊に加えられると見ている」。Drive Tesla Canadaはこの発言を慎重に読んでいる。読者もそうしたほうがいい。一部のオーナー車がロボタクシー網に加わるという意味で、全米のFSD車が一斉に切り替わるわけではない。
サービス自体については、現在深夜0時までのオースティンの運行時間を「近いうちに」午前2時まで延ばし、24時間運行や高速道路、より多くの天候条件への対応を「年内」に目指すとエルスワミー氏。テスラはいま6都市で無人運行を行っており、課題の中心は2027年の「第1四半期か第2四半期ごろ」に技術から規制へ移るとの見方を示した。
肝心のお金の話
タネジャ氏は、ロボタクシーの目標である1マイルあたり0.30ドル(約47円)にはまだ届いていないと認めつつ、「道筋ははっきり見えている」と話した。マスク氏は今四半期の業績を「動かすほどではない」としたうえで、「たぶん来年の第2四半期に目に見えるようになり、第3四半期か第4四半期には大きな存在になる」と予想。長期の話ではさらに強気だ。「政府に止められない限り(その可能性は十分あるが)、自由に事業ができる国では、テスラが地球上の旅客移動距離の過半を担うことになると思う」。答え合わせはあとでどうぞ、ということらしい。
監視ありのFSDには、すでに需要がある。タネジャ氏によると、新車には1か月の無料期間が付くにもかかわらず、北米の納車の75%超で納車時に有料のFSD契約が結ばれた。Not a Tesla Appによれば、有料FSDの利用者は世界で170万人を超え、初めて半数がサブスクリプションになった。EU全体での承認についてマスク氏は「数か月以内」を期待し、「第1四半期より遅れたら驚く」と述べている。
日本はどうなる
日本ではFSD(監視付き)自体がまだ承認されていないので、国内のモデルYが副業でロボタクシーをする日はだいぶ先だ。参考になるのはスピード感のほう。テスラは同じ日にロボタクシーの安全性レポートを公開し、タネジャ氏は「データを見た規制当局なら」反論は「非常に難しい」はずだと語った。その数字は霞が関の担当者も読んでいるはずだ。米国では、最初の質問でも触れられたスクールゾーンでの速度超過の指摘についての調査がまだ続いているが、衝突やけが人は報告されていない。ダラスは来月。最初の一般乗車を見届けたい。
出典:テスラ第3四半期決算説明会の書き起こし(Quartr/Stock Analysis)、Not a Tesla App(ロボタクシー新都市)、Not a Tesla App(FSD契約)、Drive Tesla Canada、Teslarati、テスラ公式X
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:オースティンでのサービス開始時のサイバーキャブ。画像:テスラ(第3四半期株主向けアップデートより、@Tesla(X)が投稿した公式素材をトリミング)。
