箸でつかむのは1本じゃ足りない SpaceX、スターシップ飛行試験15回目でブースターと宇宙船の「ダブルキャッチ」へ

スーパーヘビーのブースターをタワーでつかむのは、SpaceXにとってもう「いつものこと」です。

そこでイーロン・マスク氏は次のお題を出しました。飛行試験15回目では、ブースターに加えて宇宙船(シップ)も、タワーの「箸(チョップスティック)」アームでキャッチするというのです。成功すれば、軌道級ロケットの完全回収は史上初。現在の目標は、テキサス州スターベースから早くて11月8日です。

飛行試験14回目が道を開いた

15回目は、大きな節目の上に立っています。9月28日、スターシップはパッド2から打ち上げられ、SpaceXによると初めて軌道に到達しました。スターリンクV3衛星26基をすべて放出し、全基がレーザーリンク、地上局、ユーザー端末を通じて通信を確認。試験用ハードウェアではなく、本番の積み荷を運んだ初めてのスターシップでした。

完璧なフライトではありませんでした。上昇中にラプター真空エンジン1基が停止したため、チームはミッションを短縮しています。それでもスターシップは海面用ラプター1基に点火して軌道に入り、初めての軌道離脱噴射を行い、再突入を乗り切り、最後は3基のエンジンで着陸フリップを決めて太平洋の狙った場所に着水しました。NASASpaceFlightによると、ブースター21も数基のエンジンを失いながら飛行プロファイルをやり切りました。ブロック3ブースターのキャッチに向けて、いい兆しです。

飛行試験15回目の計画

  • 機体:スーパーヘビーのブースター22とシップ42。どちらもブロック3で、パッド2から打ち上げます。
  • 日程:NASASpaceFlightによると、CADENAの計画スライドでは早くて11月8日。Teslaratiによると、マスク氏は10月10日に「4〜6週間後」とし、米国の感謝祭より前の打ち上げをほのめかしました。
  • 大勝負:マスク氏によると、SpaceXは宇宙船とブースターの両方のキャッチに挑戦し、飛行試験16回目で両段とも再飛行させたい考えです。
  • 準備:シップ42は改修のためにエンジンを外し、3回目の極低温耐圧試験のためにマッセイズに戻りました。過去のフライトで見られたラプター真空エンジンの問題と関係がありそうです。9月には、パッド2の箸アームでシップ42を持ち上げるキャッチ姿勢のリハーサルも行い、アームと宇宙船のクイックディスコネクトを動かしています。Tesla Northが記録しています。

宇宙船のキャッチが難しいわけ

ブースターは、比較的低い高度から比較的ゆっくり戻ってきます。宇宙船はそうはいきません。時速約17,500マイル(約2万8,000km)の軌道速度から戻り、再突入の熱をまともに浴び、そのうえで2本の鋼鉄のアームのあいだにぴたりと浮いて止まらなければなりません。しかもパッド2は、まだ一度も何かをキャッチしたことがありません。これが決まればスターシップは完全再使用になり、宇宙に行くコストそのものが変わります。

影響はスターベースの外にも広がります。

  • スターリンクV3。大型のV3衛星を効率よく打ち上げられるのはスターシップだけです。Not a Tesla Appが報じたSpaceXの第2四半期決算説明会で、経営陣は、V3衛星約1,000基でギガビット級サービスへ大きく前進し、早ければ2027年第2四半期になる可能性があると話しました。そのペースを可能にするのが素早い再使用で、日本を含む世界中のユーザーの通信容量が増えます。
  • 打ち上げ頻度。Drive Tesla Canadaによると、FAAはいま、スターベースからのスターシップ打ち上げを年最大456回とするSpaceXの提案を審査中です。現在の25回から、中間段階の100回を経て段階的に増やします。こんな数字が成り立つのは、両段が戻ってきてまた飛べる場合だけです。
  • 月。NASAのアルテミス計画の着陸船はスターシップで、軌道上での燃料補給のために何度もタンカー便を飛ばす必要があります。安くて速い再使用があってこそ、この計画は現実的になります。

遅れるとしたら

NASASpaceFlightによると、スターシップの現在のライセンスは飛行試験14回目のプロファイルが対象です。宇宙船を発射場に戻すのはミッションの変更なので、FAAの承認が必要になるかもしれません。ブースター22とシップ42の静的燃焼試験もまだです。打ち上げが近いサインは、パッド2での両機の静的燃焼試験と、ライセンスの更新です。

EVX Newsの視点

14回目で、スターシップは軌道で本物の仕事ができることを証明しました。15回目のテーマは、ちゃんと帰ってきて、もう一度それができるかどうかです。2015年のファルコン9初のブースター着陸は、打ち上げ業界を変えました。ダブルキャッチが成功すれば、それと同じくらい大きな一歩になります。EVX Newsは英語と日本語でライブでお伝えします。

出典:SpaceX(飛行試験14回目)、Not a Tesla App、Drive Tesla Canada、Teslarati、Tesla North、NASASpaceFlight(飛行試験15回目の準備)、NASASpaceFlight(飛行試験14回目)。

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:スターシップ飛行試験5回目でタワーに戻るスーパーヘビー・ブースター。撮影:Steve Jurvetson、出典:Wikimedia Commons、ライセンス:CC BY 2.0。

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