フル規模のジャパンモビリティショーは隔年開催で、2026年は「裏年」。裏年には、ビジネス向けのジャパンモビリティショー ビズウィークが開かれます。今年は10月13〜16日、千葉・幕張メッセで開催。出展は218社で、派手なお披露目は少なめ、そのぶんスタートアップやサプライヤーが目立ちました。
新型の国産EVがずらりと並ぶのを期待して行った人は、ちょっと肩すかしだったはず。それでも、日本の自動車メーカーがどこにお金をかけているのかはよく見えましたし、その中にはEVドライバーにとってうれしい賭けもいくつかありました。
どこもかしこも「マルチパスウェイ」
日本自動車工業会(JAMA)は自動車メーカー14社の合同展示を行い、6つのテーマで構成しました。
- マルチパスウェイのパワートレイン
- 水素
- 共同物流
- 自動運転
- 走行中ワイヤレス給電
- サーキュラーエコノミー
「マルチパスウェイ」は、日本ではとても便利な言葉です。ハイブリッドもプラグインも水素もバッテリーEVも、全部同時にやりますよ、という業界の言い方なのです。
TRANS CARのまとめを見ると、その戦略がよくわかります。
- 日産はシリーズハイブリッドの第3世代e-POWERを積んだ新型エルグランドを中心に、次世代プロパイロットの試作車や、リーフのセルを使ったポータブルバッテリーを展示。
- 日野と三菱ふそうは水素トラックを持ち込みました。燃料電池のプロフィアZ FCVと、水素エンジンのコンセプト「H2IC」です。
- マツダは、レンジエクステンダー構想として2ローターのロータリーEVシステムのコンセプトを展示。
- ダイハツはアンモニア・水素混焼エンジンを初公開。
- 三菱自動車は、アウトランダーPHEVと並べて、その使用済みバッテリーで光る街灯を見せました。
本当にクルマを充電してくれるもの
ビズウィークで一番役に立つEVニュースは、クルマではなく充電の話でした。ホンダの展示リストにはこんなものが並びます。
- 全国のホンダ販売店やショッピングセンターに設置が進むHonda Chargeの急速充電器の実機。
- 停電時やピーク時にEVから家に電気を送れる双方向充電器Honda V2Hスタンド。
- 走行中ワイヤレス給電(DWPT)の模型。道路に埋め込んだコイルから、走っているクルマの受電装置に電気を送る仕組みで、ホンダは今後1年かけて実証実験を行うとしています。
トヨタも合同展示エリアで走行中ワイヤレス給電を紹介し、ティアフォーの自動運転システムで動く自動運転シャトル「e-Palette」も並べました。いすゞとUDトラックスは、自動運転バス「エルガEV」の実車を持ち込んでいます。
小さな出展者にも、いちばん実用的なアイデアがありました。エネゲートは、余った太陽光を吸収するため急速充電の料金を昼間に割り引いたところ、約9,700人のドライバーが充電を昼間に移したという春の実証結果を発表。秋の実証は11月23日まで、土日祝日の午前9時〜午後4時に行われ、割引率は地域や日によって0〜50%です。ヤマハは、すでに販売中の電動スクーター「JOG E」と「GEAREV」を展示しました。
テスラファンが気づくこと
テスラは出展していません。その必要もありませんでした。OTAアップデート、AIによる運転支援、家庭用バッテリーとしてのクルマ、かしこい充電。会場のあちこちに、そんなアイデアがあふれていました。たとえばスバルは、購入後にクルマを進化させる「SUBARU UPGRADE SERVICE」をアピール。テスラは、そのどれもを何年も前から届けています。
公平のために言うと、日本の慎重さにも理屈はあります。軽自動車が市場の大きな割合を占め、水素は政策の強い後押しを受け、ハイブリッドも今なお売れています。でも国内のEV販売は9月に過去最高のシェア5.75%を記録したばかりで、一番混んでいたのはソフトウェアと充電のブースでした。買い手は、パンフレットより先を走っています。
EVX Newsの視点
ビズウィークに見えたのは「全方位で保険をかける」業界の姿。でも少なくとも、その保険に本物のEVインフラが含まれるようになりました。Honda Charge、V2H、太陽光に合わせた充電割引は、EVドライバーがすぐにでも使えるものです。ワイヤレス給電の道路は長期の研究プロジェクトですが、夢があって楽しい。ただ、水素のゴルフカート1台より、急速充電器があと数百基ほしいところです。
出典:TRANS CAR、Honda、Automotive World、EVsmartブログ。
— EVX News編集部
アイキャッチ画像:千葉・幕張メッセ。撮影:掬茶、出典:Wikimedia Commons、ライセンス:CC BY-SA 4.0。
