BYDが主力の小型EV「シーガル(海鷗)」の2代目を発売した。名前から想像するよりずっと大きなクルマになっている。全長は425mm伸び、定員は4人から5人に。駆動方式は後輪駆動に変わり、上位グレードにはBYDの「フラッシュ充電」を採用。10%から70%までわずか5分だ。中国での価格は6万5900元(約156万円)からとなる。
5グレード、エントリー価格は値下げ
発表は中国時間10月20日夜、河南省鄭州のサーキットで行われた(CnEVPost、新浪財経)。グレードは5つで、公式価格は6万5900元(約155万円)、7万2900元(約172万円)、7万5900元(約179万円)、8万2900元(約195万円)、9万9900元(約235万円)。期間限定の下取り価格はそれぞれ3000元(約7万600円)安く、6万2900〜9万6900元(約148万〜228万円)となる。先代の最安値は6万9900元(約165万円)だったので、ボディが大きくなったうえに入口価格は4000元(約9万4,200円)下がった計算だ。
下位2グレードは30.1kWhの電池でCLTC航続距離320km、7kWの家庭用充電器が無料で付く(納車から2年以内に設置)。7万5900元(約179万円)からの上位3グレードは39.2kWhの電池で航続420km、フラッシュ充電に対応する。快科技の記事を転載した新浪財経によると、個人購入者には12か月間、電力量無制限でフラッシュ充電が無料になる特典もある。
何が変わったか
- サイズ:全長4205mm、全幅1810mm、全高1570mm、ホイールベース2650mm。先代より全長が425mm、ホイールベースが150mm長く、ドルフィンに近いサイズになった。
- 室内と荷室:5人乗りになり、94Lのフロントトランクを新設。後席を倒すと荷室は最大1380L。
- 駆動系:モーターを前から後ろへ移し、リアサスペンションはトーションビームからマルチリンクに。出力は航続320kmのグレードが85kW、420kmのグレードが95kWで、先代の55kWから大きく向上した(CnEVPost)。
- 充電:フラッシュ充電対応グレードは、BYDのメガワット級充電ステーションで10%→70%が5分、満充電まで約9分。マイナス30℃でも約3分長くなるだけだという。中国国内のフラッシュ充電ステーションは1万2165か所が完成済みで、年末までに2万か所を目指す。
- 運転支援:LiDAR(ライダー)を備えたBYDの運転支援「DiPilot 300(天神之眼)」をオプションで用意し、市街地と高速道路でのナビ連動走行に対応する(CarNewsChina)。
電費は最高で100kmあたり9kWh。ライダー、後輪駆動のマルチリンク、5分充電を10万元(約235万円)未満のクルマに詰め込むのは、少し前なら2クラス上の装備だ。そこが狙いでもある。東方財富網は、フラッシュ充電を載せたBYD車で最も小さいモデルだと伝え、新浪財経の記事は吉利の星願、五菱の繽果、零跑のA10をライバルに挙げている。
BYDに新型が必要だった理由
シーガルはBYDの販売を支える柱の一つで、2023年4月の発売以来の累計は約155万台。ただ先代は古さが目立っていた。CnEVPostの集計では、2026年1〜9月の販売は前年同期比33.22%減の26万5901台。9月単月は11.75%増の3万8650台と持ち直したものの、厳しい状況が続いていた。安い小型EVは中国で最も競争の激しいクラスで、値下げしながらのフルモデルチェンジがBYDの答えだ。価格帯の反対側では、9月はテスラのモデルYが中国で最も売れたクルマだった。
日本に来るのか
先代シーガルは海外で、欧州では「ドルフィン・サーフ」、中南米では「ドルフィン・ミニ」、その他の市場では「ATTO 1」として売られており、新型のグローバル版もいずれ登場しそうだ。日本向けの発表はまだない。BYDの日本ラインアップはドルフィン、ATTO 3、SEAL、SEALION 7、軽EVのラッコなどで、最新の補助金一覧では国のCEV補助金はいずれも15万円、1月からは9万円に下がる。補助金の減額については本日の記事、欧州の状況は9月の販売まとめで。本記事の仕様と価格は中国市場のもので、BYDの発表内容と中国の主要メディア3社以上で確認している。
出典:CnEVPost、CarNewsChina、新浪財経(快科技)、東方財富網、次世代自動車振興センター 補助金交付額一覧
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:IAAモビリティ2025(ミュンヘン)に展示された初代BYDシーガル(欧州名ドルフィン・サーフ)。撮影:Alexander Migl/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
