フォードのEV部門、第3四半期も11億ドルの赤字 ライトニング終了とマッハE減産で

フォードのEV部門が、第3四半期もまた11億ドル(約1,700億円)の赤字を出しました。「フォード・モデルe」の営業損失(EBIT)は10億5,800万ドル(約1,670億円)で、売上高はわずか12億ドル(約1,900億円)。営業利益率はマイナス86.5%です。F-150ライトニングの生産終了と、マスタング・マッハEの減産が響きました。

フォードは10月29日(木)朝(日本時間)/米東部時間28日の取引終了後に決算を発表しました。決算資料によるモデルeの数字は以下のとおりです。

  • 卸売台数:3万4,000台(前年5万台から31%減)
  • 売上高:12億ドル(約1,900億円、前年18億ドルから31%減)
  • EBIT:マイナス10億5,800万ドル(約1,670億円、前年はマイナス14億1,000万ドル)
  • EBITマージン:マイナス86.5%(前年マイナス79.1%)
  • 1〜9月累計:売上高35億ドル(約5,500億円、35%減)、EBITマイナス27億5,000万ドル(約4,300億円)

フォードの決算説明資料は原因をはっきり書いています。「販売台数と売上の減少は、F-150ライトニングの生産終了と、マスタング・マッハEの生産を顧客需要に合わせて適正化したことによる」。ソーヤー・メリット氏も発表から数分でこの一文をXで紹介していました。

赤字は縮小、利益率は悪化

改善もちゃんと隠れています。赤字額は前年より3億5,200万ドル(約560億円)、25%縮小しました。フォードは第1世代EVの採算改善を進めつつ、新しい2つの分野に投資していると説明しています。「ユニバーサルEV(UEV)」プラットフォームを使う手頃なEVと、蓄電池の新事業「フォード・エナジー」です。

ただ、売上がコスト以上に落ちたため、利益率は悪化しました。EVの売上1ドルごとに約86セントの営業損失がついてくる計算です。Drive Teslaによると、通期のモデルeの赤字見通しは約40億ドル(約6,300億円)で据え置きです。

一番大きな穴はライトニングです。TeslaNorthによると、2025年末のEV戦略見直しで生産が終わり、計画中だった複数のEVも中止になりました。UEVのクルマが出るまではマッハEがブランドを背負うことになり、その第1弾がピックアップの「Fathom」です。Drive Teslaによると、フォードは2027年発売予定のこのトラック向けに、テスラ流のギガキャストで大型アルミ一体鋳造部品をすでに5,000個以上作っています。

フォード全体は好調

会社全体では黒字です。売上高は495億ドル(約7.8兆円)で2%減、純利益は20億ドル(約3,200億円)、調整後EBITは27億ドル(約4,300億円)で利益率5.4%。CNBCによると、調整後1株利益は49セントで市場予想の40セントを上回った一方、自動車部門の売上高460億8,000万ドル(約7.3兆円)は予想をわずかに下回りました。通期の調整後EBIT見通しは105億〜110億ドル(約1.66兆〜1.74兆円)に絞り込み、下限を引き上げています。

ガソリン車とハイブリッドの「フォード・ブルー」はEBIT14億ドル(約2,200億円)、商用・法人向けの「フォード・プロ」は17億ドル(約2,700億円)を稼ぎました。ざっくり言えば、トラックとバンがいまもEVシフトの費用を払っているわけです。ジム・ファーリーCEOは2027年を、2029年に調整後EBITマージン8%を目指す道のりの「土台の年」と位置づけました。

テスラと比べると

その1週間前、テスラは売上高約280億ドル(約4.4兆円)の黒字決算を出しました(第3四半期決算の記事はこちら)。一方、フォードのEV部門の四半期の卸売は3万4,000台。テスラにとってEVは会社そのものですが、フォードにとってはトラック事業が支える一部門です。その違いが、この決算のどの行にも表れています。

既存メーカーがテスラのクルマづくりを研究し続ける理由もそこにあります。フォードのUEV計画はテスラの大型鋳造の手法を取り入れていますが、テスラはもう次へ進んでいます。サイバーキャブには、テスラ自身がモデルYより格段に高く評価するバッテリーパックが使われ、そもそもハンドルがありません。Fathomへのプレッシャーは、また10億ドル分重くなりました。

出典:フォード2026年第3四半期決算資料(SEC)、CNBC、Drive Tesla、TeslaNorth、ソーヤー・メリット氏のX投稿

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:フォード・マスタング・マッハE。写真:Alexander Migl / Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0(トリミングあり)

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