お正月までに日本でFSD? テスラジャパン社長「100%」に向けて全力

日本のテスラオーナーは、年内にFSD(監視付き)を使えるのか。テスラジャパンの橋本理智社長は、日付は約束しませんでした。約束したのは本気度です。月曜朝に公開された日本経済新聞のインタビューで、2026年の目標に向けて「100%」実現できるよう、できることはすべてやっていると語りました。

話題になっているのは、10月19日午前5時に公開された日経の「リーダーの肉声」インタビューです。2026年の導入は厳しいのでは、という見方について聞かれた橋本社長は、ごまかしませんでした。発言の趣旨をまとめると、テスラだけでできることではないので難しい、それでも100%に近づけるよう最大限の努力をしている最中だ、というものです。年内は残り約10週間。このタイミングで公の場でここまで言うのは、なかなかのことです。

日本のFSD、いまどこまで来ている?

テスラジャパンがこれまでに公表してきた流れを整理すると、こうなります。

  • 2025年8月:テスラジャパンが、日本の公道でFSD(監視付き)の本格的なテスト走行を始めたと発表。国内でのリリース時期は「今後の開発状況と規制当局の承認次第」との注記つきでした。
  • 2026年3月:東京・新宿でのFSD(監視付き)テストの写真を公開し、2026年の日本導入を目指して開発中だと表明。この記事のトップ画像がその1枚です。
  • 2026年9月11日:東京でのサイバーキャブ日本初披露の場で、橋本社長は「まずはFSD」と発言。ブルームバーグに対し、急ぎたいが「急ぐことで安全性を下げる」ことはしない、日本の規制とテスラ自身の安全基準の両方を満たす必要がある、と語っています。
  • 2026年10月19日:今回の日経インタビュー。目標は動いていません。
投稿:@teslajapan(X)/2025年8月、日本でのFSD(監視付き)テスト走行開始

自動運転専門メディアの自動運転ラボによると、テストは東京の外にも広がっています。2026年6月には横浜と大阪でテストドライバーの求人が出ており、当初のモデル3に加えてモデルYのテスト車両も目撃されていると国内メディアが報じています。

本当の壁はどこにある?

「自分たちだけではできない」というのは、要するに国土交通省の判断が必要だ、という上品な言い方です。自動運転ラボの解説によると、大きなハードルは2つあります。

  • 「特定改造」の許可制度。道路運送車両法では、ステアリングやブレーキなど保安基準の対象になる装置の動きを変えるソフトウェアには、事前に国交省の許可が必要です。オランダや中国での承認が、そのまま日本で通用するわけではありません。
  • OTA(無線)アップデート。FSDは頻繁なOTA配信で進化していきます。安全に関わる機能の無線アップデートを日本がどう扱うかは、それ自体が別の宿題です。

国際ルールの話もあります。自動運転ラボによると、国連のWP29は6月の会合で、FSD(監視付き)のような運転支援システムを対象とする国連規則第171号の改正を進めました。過去の例では、こうした改正が日本の保安基準に反映されるまで約6カ月かかっており、その計算だと2027年初めごろになります。テスラがそれを待たなければならない、と誰かが言ったわけではありません。ただ、橋本社長が「時期はテスラだけでは決められない」と繰り返す理由はよくわかります。

いま買えるのは何?

現時点では、テスラの日本サイトにはFSD(監視付き)は日本では利用できないとはっきり書かれています。GARAGE-ZEROが今月初めにモデルYの注文ページで確認したところ、FSDサブスクリプションの日本でのリリースは「今後の開発状況と規制当局の承認次第」とのこと。いま日本の購入者が選べるのは、標準のベーシックオートパイロットか、43万6,000円のエンハンストオートパイロットです。エンハンストオートパイロットが将来FSDに変わるとは注文ページのどこにも書かれておらず、日本でのFSDの価格、名称、提供条件もまだ発表されていません。FSD目当てでテスラを買うなら、そこは頭に入れておきましょう。

EVX Newsの視点

今回の正直さ、いいと思います。橋本社長は目標をくり返して終わりにすることもできました。でも実際は「難しい」と認めたうえで、自分の名前で本気の挑戦を約束しています。追い風も本物です。FSD(監視付き)は5月に中国で始まり、スロバキアはつい先日、EUで9カ国目の承認国になりました。左側通行、狭い道、そしてかなり細かいルール。日本は正しく動かすのが最も難しい国のひとつで、だからこそ日本での承認には大きな意味があります。国交省の動きとテスラジャパンの次の発表は要チェック。FSDが年内に来たら、まずはここでお知らせします。お正月にFSD、夢がありますね。

出典:日本経済新聞、ブルームバーグ(Yahoo!ニュース)、自動運転ラボ、GARAGE-ZERO、テスラジャパン公式X(2026年3月)、テスラジャパン公式X(2025年8月)。

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:東京・新宿でのFSD(監視付き)開発テスト。画像:テスラジャパン(テスラジャパン公式Xより)。

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