アンソロピック、スペースXの計算資源に最大1,205億ドル(約18.9兆円) スペースXもGPUリース400億ドル(約6.3兆円)を正式発表

スペースXのAI事業に、26日だけで2つの値札がつきました。アンソロピックの上場申請書によると、Claudeの開発元は2029年までにスペースXの計算資源へ最大1,205億ドル(約18.9兆円)を支払う契約を結んでいます。一方のスペースXは、アポロを貸し手とする400億ドル(約6.3兆円)のGPUリースを正式に書面で公表。片方はチップを呼び込み、もう片方はお客さんを連れてくる話です。

アンソロピックの「1,205億ドル」

数字が載っているのは、アンソロピックが26日に公開したS-1(上場申請書)の契約上の義務の項目です(申請書全体の内容はこちらの記事で)。アンソロピックは5月から10月にかけて、旧X.AI LLCで現在はスペースXの完全子会社であるSpaceX.AI LLCと、NVIDIA製GPUを使う計算資源の契約を複数締結・変更。総額で「2029年まで続く期間に最大1,205億ドルを支払うことに合意した」と書かれています。

目を引くのは月額です。すべての容量が引き渡されれば(アンソロピックは2026年12月を見込む)、支払いは月約31億ドル(約4,860億円)、年間にすると約372億ドル(約5.8兆円)になるとソーヤー・メリット氏が指摘しています。比較のために言うと、スペースXの第3四半期の売上高は全体で145億8,000万ドル(約2.3兆円)。満額ペースのアンソロピック3カ月分だけで約93億ドル(約1.5兆円)です。

ただし条件付き。申請書にもはっきり書いてあります。容量が立ち上がる期間は料金体系が異なり、2027年1月と3月に終わる解約不能期間のあとは「いずれの当事者も90日前の書面通知で各契約を解約できる」。つまり「最大」の2文字がかなり効いています。Drive Tesla Canadaも同じ解約条項に触れています。アンソロピックにとってスペースXはNVIDIA系GPUの調達先のひとつで、ほかにマイクロソフト、Nscale、Lambdaなどがあり、さらにグーグルのTPU、AWSのTrainium、AMDのGPUも使っています。

400億ドルのリース、正式版

マスク氏は週末、スペースXがGPU向けに400億ドルの借り入れを「完了した」と投稿し、EVXでもお伝えしました。26日朝に出たスペースXの正式発表と8-K(臨時報告書)は、もう少し正確です。スペースXは10月24日、アポロ・グローバル・マネジメントが運用する事業体とマスター・ファイナンス・リースを結ぶ拘束力のある確約書に署名。アポロ側がGPUポッドと関連機器を買い、スペースXに貸す仕組みです。

  • 元本の支払総額は約400億ドル(約6.3兆円)。スペースXは「確約済みのGPUファイナンスとして史上最大」と説明。
  • 中身はNVIDIAの次世代チップ「Vera Rubin」で、地上のデータセンター向け。
  • 機器は分割で納入され、それぞれ約5年〜5年3カ月のリース。賃料は四半期ごとの前払いで、調達額の20分の1に、価格決定時に決まる固定金利分を上乗せ。
  • アポロとゴールドマン・サックスが主導し、ゴールドマンが単独のストラクチャリング・エージェント。ブラックロック、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、KKRが助言する口座もアンカー出資を確約。
  • 2026年内のクロージングを予定し、リースは2027年前半のGPU納入とともに始まる。

金利はまだ決まっていないとMarketWatch。PitchBookは、今年の夏にアポロとブラックストーンがまとめた、GPUを買ってアンソロピックに貸すための360億ドル(約5.6兆円)の仕組み債を上回る規模だと指摘しています。同じ貸し手が、今度はテーブルの反対側に座っているわけです。

投資家が赤丸をつけそうなのは、ブレット・ジョンセンCFOのこのひと言。「SIインフラへの投資は回収期間が1年未満になっている」。2つの書類を並べると、ビジネスの絵はこうです。最新チップを5年リースで借り、その計算能力をGrokとアンソロピックのような有料顧客に貸し、毎月の入金でリース代を払う。成り立つかどうかは、あの90日の解約条項が使われないかどうか次第です。

日本ではKDDIやドコモ経由でスターリンクを売っている、あのスペースXの話です。そのAI部門がGrokの最大のライバルの一社に計算資源を売っている。次の答え合わせは、来年初めに出るスペースXの第4四半期決算になります。

出典:アンソロピックのS-1(米SEC)、スペースXの投資家向け発表、スペースXの8-K(米SEC)、Drive Tesla Canada、ソーヤー・メリット氏のX投稿(2)、PitchBook、MarketWatch、ロイター(Yahoo Finance経由)

— EVX News編集部

アイキャッチ画像:アポロ・グローバル・マネジメントが本社を置く、米ニューヨーク・マンハッタンの9ウェスト57丁目「ソロウ・ビル」(2024年5月)。撮影:Sir MemeGod/Wikimedia Commons、CC BY 4.0(トリミングあり)

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