月之暗面「Kimi K3.1 Pro」が世界4位に、11月4日までに重みを公開へ

北京の月之暗面(Moonshot AI)が「Kimi K3.1 Pro」を公開しました。総パラメータ数2.8兆、コンテキストは100万トークン。独立系の評価機関は、このモデルを世界4位に位置づけています。上にいるのはAnthropicの2モデルと「Muse Wonder Full」だけです。月之暗面は11月4日までに重みを全面公開するとしており、公開されれば、ダウンロードできるオープンウェイトモデルとして最高スコアのモデルになります。

中国新聞網(中新網)と新京報によると、発表は北京時間24日(土)未明(日本時間同日未明、米国時間23日)。標準版より2〜3倍速い「Highspeed」版も同時に出ました。どちらもKimi.ai、Kimi Work、Kimi Code、Kimi APIですでに使えます。

どれくらい強い?

独自にテストしているArtificial Analysisは、K3.1 Proの「Intelligence Index」を55としました。前モデルKimi K3の44から11ポイント上昇です。上はClaude Opus 5.5(58)、Claude Sonnet 5.5(56)、Muse Wonder Full(56)だけ。同社が強調するのは、重みが公開されれば、この指標でのトップのオープンモデルとトップのクローズドモデルの差が12ポイントから3ポイントに縮まるという点です。

伸びが大きいのはエージェント的な作業です。実務タスクを試すArtificial Analysisの「GDPval-AA」では1,846 Eloで、Opus 5.5とMuse Wonder Fullに次ぐ3位、K3より312ポイント上です。同社のテストでは「Terminal-Bench 4.0」で全モデル中トップの67%(K3は13%)。ほかの指標の伸びは控えめで、「Humanity’s Last Exam」は47%から52%でした。

月之暗面の技術ブログでは、Terminal-Bench 4.0は65.7%。OpenAIのGPT-6 Astra(58.2%)を上回り、Claude Opus 5.5(66.4%)にわずかに届かない数字です。The Next Webは、これらは月之暗面自身の数字で、独立した検証は受けていないと指摘しています。2つの数字が一致しないのは、テストの条件が違うためです。

スペックと価格

  • 規模:Artificial Analysisによると総パラメータ2.8兆、アクティブ1,040億(MoE方式)。中国メディアは「3兆級」と表現し、パラメータ数で引き続き世界最大のオープンモデルだとしています。
  • コンテキスト:100万トークン。テキストと画像の入力に対応。
  • 価格:100万トークンあたり入力2ドル(約310円)、出力10ドル(約1,570円)、キャッシュ入力0.20ドル(約31円)。3つともK3より33%安くなりました。
  • 1タスクあたりのコスト:Artificial Analysisの指標で約1.98ドル(約311円)。出力トークンが14%増えたため、K3とほぼ同じです。

ブログが特に力を入れているのは、コーディング、3D、金融です。月之暗面によると、K3.1 Proは追加のコネクターなしでBlenderやCADのスクリプトを書いて実行でき、「BenchCAD」では92.7%(Opus 5.5は96.2%)。3Dプリント用モデルをプレビュー・ダウンロードできる「3D Make」機能もkimi.aiで始めました。ハルシネーション(もっともらしい誤り)については、社内のストレステストで主張単位の誤り率が23.4%から8.3%に下がったとしています。Artificial Analysisの独自テストでは、53%から44%と下げ幅は小さめでした。

わざと「ハッカーとしての腕」を落とした

ここが一番珍しい部分です。月之暗面によると、オープン版が無料で手に入るモデルの限界を押し広げないよう、中間学習と強化学習の段階でサイバー攻撃関連のデータを取り除きました。新京報によると、同社は2つの原則を掲げています。サイバー攻防能力の絶対的な最前線を押し上げるオープンウェイトは公開しないこと、そしてオープンウェイトで使える攻防能力は段階的に高めていくことです。

The Next Webが数字を伝えています。実在するソフトウェアの欠陥を突く月之暗面の社内テストで、データを削らずに学習した版は90.5%のタスクを解きました。公開版は81%で、それでもK3の33.3%を大きく上回ります。月之暗面は、重みを公開すれば防御側が自分たちのコードを見直すのに役立つと主張しています。ただ、オープンモデルは一度ダウンロードされると回収できません。研究者たちがこうした公開に目を光らせているのはそのためです。

EVファンにも関係ある理由

中国のAI企業は、米国のトップに迫るオープンモデルを次々に出してきています。チャットボットにとどまらず、自動車メーカーを含め幅広い業界に関わる話です。中国新聞網はOpenRouterのデータを引用し、中国モデルの週間利用量が25週連続で米国モデルを上回り、10月12〜18日の世界トップ5もすべて中国モデルだったと伝えています。前回の大型の中国オープンモデルDeepSeek V4.1-Flashや、その前のMetaのMuse Spark Openも記事にしました。次に注目すべき日付は、重みが公開される11月4日です。

出典:月之暗面(Kimi K3.1 Pro技術ブログ)、Artificial Analysis、The Next Web、中国新聞網(中新网)、新京報(新京报)、PANews。円換算は1ドル=156.8円で計算。

— EVX News 編集部

アイキャッチ画像:月之暗面によるKimi K3.1の発表用アートワーク。画像:Moonshot AI、Kimi K3.1 Pro技術ブログより(公式画像)

Related articles

シップ42が燃焼試験を完了、スターシップ「フライト15」は両段そろって準備OK フロリダは6週間の「待機モード」へ

スペースXによると、シップ42は6基フル燃焼と軌道離脱噴射を模した1基燃焼を終え、両段キャッチに挑むフライト15の機体は試験スタンドでの関門をすべて通過しました。フロリダでは39A発射台の準備のため、ファルコン9の打ち上げが6週間止まります。

テスラ、ベトナム進出を正式表明 最初の求人5件、充電担当は「20件以上を同時進行」

テスラのアジア太平洋地域の採用担当者が「テスラは正式にベトナムに進出する」と投稿し、販売、サービス、人事、購買、充電開発の5職種の求人を公開しました。充電担当には20件以上の同時進行が求められています。発売時期や車種、価格はまだ未発表です。

株価ウォッチ:エンフェーズ16%急落、テスラは小反落、東京半導体は続伸

エンフェーズは決算ショックで16.03%安。テスラは0.80%安の404.22ドルと400ドル台を維持し、東京はルネサス7.47%高で日経平均685円高。

中国のNEV小売、10月1〜25日は13%減 卸売は増えて在庫がじわり

中国乗用車協会(CPCA)によると、10月1〜25日の新エネルギー車(NEV)小売は75万3,000台で前年同期比13%減、卸売は3%増の100万8,000台でした。乗用車全体の小売は26%減で、NEV比率は65.7%。在庫の圧力が強まっています。

シャオペンの人型ロボット「IRON」、本体より先に固体電池が少量生産へ

シャオペン(小鵬汽車)の顧捷副総裁は、人型ロボットIRON向けの固体電池が少量生産に入ったと明らかにしました。ロボット本体はまだ量産開始前で、2026年末の量産、2027年の店舗配備を目指しています。
EVX News Desk
EVX News Deskhttps://evxnews.com
EVX News Deskは、東京からテスラ、スペースX、EV、AI、ロボティクスの最新ニュースを毎日お届けしています。すべての記事は編集方針に基づいて出典を確認・検証し、EVX News創設者・編集長のレスター・ミヤシロ(Lester Miyashiro)が編集しています。

Leave A Reply

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください