スペースXが8月に投入したエージェント型AIアシスタント「Grok Bot」の有料週間ユーザー数が、10月上旬の時点で80万人に達した。前月から2倍以上の伸びだ。米国時間10月20日の第3四半期決算説明会で明らかにされた。イーロン・マスクは控えめな言い方をしなかった。「これほど速く伸びる製品は、人生で見たことがない」。
スペースXが示した数字
決算説明会の書き起こしによると、Grok Botは「8月にローンチし、今月初めの時点で有料の週間ユーザーは80万人。この1か月で2倍以上になった」。ブルームバーグは9月中旬時点で約41万8000人と報じていたので、会社の説明とも辻褄が合う。
伸びを支えているのは法人利用だ。スペースXはB2Bを「最も成長の速い分野」と呼び、企業が営業、マーケティング、IT、エンジニアリングでGrok Botを「複雑な業務を最初から最後までこなす、常に動いているチームメイト」として使っていると説明した。年間100万ドル(約1.6億円)以上を支払うGrok Enterpriseの顧客数(Cursorの顧客を含む)は、前四半期比50%増(プロフォーマ)。先週にはGrok、Grok Bot、Cursor、X Premiumをひとつにまとめたプランも発表している。
マスクは、見出しの数字以上に「続くかどうか」を判断するうえで大事な点も挙げた。ユーザー1人あたりの利用量が、減るのではなく増えているという。「Grok Botが便利になるほど、ユーザーは週あたりより多く使うようになっている」。Business Insiderもこの点を取り上げた。最初の1か月だけ盛り上がって失速するAIアプリは多いが、その逆のパターンだ。
次は企業への本格展開、計算資源も増強
次の段階は、企業がチーム単位で導入することだ。マスクは「一部の信頼できる顧客で初期導入を始めており、数週間以内に法人顧客向けに幅広く展開する」と述べ、企業の中で「まるでバーチャルな人間のように」働く姿を描いた。さらに「Grok Botがスーパーインテリジェンス用の計算資源の大半を使うことになるかもしれない」とも。1.7ギガワットの計算能力を持ち、さらに大幅な増強を計画する会社としては、かなり大胆な発言だ。
モデル開発では、2027年4〜6月期末までに「最も強力な学習クラスター」として、NvidiaのVera Rubin 44万基を稼働させる計画。マスクは、Grokが「最高のモデルになる可能性がある。少なくとも非常に競争力のあるものになる」と話した。Grok、Grok Bot、Cursorを含むSI部門の売上高は、決算資料によると75億6000万ドル(約1.2兆円)で、スペースX最大の事業になった。マスクの2027年の売上目標との関係はTesla Northが詳しい。
小さな機能追加も着々と
大きな数字の合間にも、製品は少しずつ進化している。10月19日には@bot公式アカウントが、iPhoneのアクションボタンにGrok Botを割り当てて、ワンプッシュでタスクを始められる様子を紹介した。週末に取り上げたX Chatコネクタの高速化に続くアップデートだ。テスラとのつながりもある。現在配信中のソフトウェアアップデート2026.38.5.10では、車内のGrokから「ベータ」の表記が消えたとNot a Tesla Appが確認している(リリースノートには記載なし)。
順風満帆というわけではない。今月のAmazonによるブロックのように、代わりにウェブを操作するAIエージェントはどれも同じ壁にぶつかる。AIアシスタント競争も激しく、Grokの音声モデルも、常に寄り添うアシスタントを目指すOpenAI、Anthropic、Googleの製品と競っている。それでも、ローンチから2か月で有料週間ユーザー80万人、しかも1人あたりの利用が増えているという数字は、スペースXにとって胸を張れる材料だ。次に注目すべきは「数週間以内」とされた法人向けの本格展開だ。
出典:スペースX第3四半期決算説明会 書き起こし(The Motley Fool)、スペースX 2026年第3四半期決算資料、Business Insider、Tesla North、Not a Tesla App、Grok Bot(X)
— EVX News 編集部
アイキャッチ画像:Grok Bot公式のiPhoneアクションボタン紹介動画の一場面。画像:Grok Bot(@bot)公式X
