スマホと直接つながるスターリンクのサービスが、日本で大きな節目を迎えました。NTTドコモは10月15日、docomo Starlink Directの接続ユーザーが10月8日に1,000万人を突破したと発表。サービス開始から5カ月ちょっとでの到達です。
ドコモは日本最大の携帯キャリア。しかも数えているのは「つながる可能性があるスマホ」ではなく、実際にSpaceXの衛星経由でつながった人です。1,000万人といえば、日本人のおよそ12人に1人。山あいの谷でスマホを見て、以前なら立たなかったアンテナが立っているのを目にした人が、それだけいるということです。
仕組み
docomo Starlink Directは、SpaceXのスマホ直接通信衛星「Starlink Mobile」を使います。普通のスマートフォンが上空の衛星に直接つながるので、アンテナも特別な機器も設定もいりません。主なポイントはこちら。
- 開始:2026年4月27日。
- 料金:格安ブランドのahamoを含むドコモの全プランで、申し込み不要・無料。衛星経由のデータ通信は月のデータ容量にカウントされず、衛星経由のSMSも無料です。
- エリア:空が見える日本国内のどこでも。領海(12海里)内の海上もOK。米国、カナダ、フィリピンでのローミング中にも使えます。
- 対応機種:ドコモの103機種、台数にして2,600万台以上。ほとんどの機種はソフトウェア更新だけで対応します。iPhoneは設定で「衛星」をオンにするだけです。
できること
まだメッセージ中心で、フルのブロードバンドではありません。それでも、できることは緊急時のテキストだけでなく、かなり増えました。
- SMS、RCS、iMessage(ファイル添付や位置情報の共有も)
- Androidのメッセージアプリ内でのGeminiによる検索
- 緊急地震速報などの緊急速報「エリアメール」
- 一部アプリのデータ通信:ドコモメール、安否確認の「災害用キット」、d払い、スマートニュース、位置情報サービス「イマドコ」
音声通話はまだ非対応で、飛行機の中でも使えません。SMSと緊急速報以外の機能には、spモードまたはmopera Uの契約が必要です。
日本はもう「スターリンクの国」
ドコモだけではありません。先陣を切ったのはKDDIで、2025年4月にau Starlink Directを開始。8月10日には、SpaceXの次世代衛星「Starlink Mobile V2」でアジア初の契約を結びました。KDDIによると、2027年末までに、圏外のエリアで高速データ通信とネイティブなVoLTE音声通話が使えるようになります。
ソフトバンクも10月5日、法人や車両向けに、Ankerの電源機器とセットにした認定Starlink Businessキットの販売を始めました。
つまり日本の大手3キャリアすべてが、スターリンクの商品を扱っていることになります。山が多く、海岸線が長く、台風や地震が多い島国にとって、これは単なる便利さ以上の話です。災害のとき、真っ先にダウンするのは携帯の基地局であることが多いもの。上空の衛星は、地面が揺れていても気にしません。
「主権」をめぐる声も
日本の全員が手放しで喜んでいるわけではありません。ロケットベンチャーのインターステラテクノロジズで取締役を務める実業家の堀江貴文氏は10月15日、YouTubeで、米国企業に頼るのではなく日本は独自の衛星ネットワークをつくるべきだと主張しました。根拠として挙げたのは、ウクライナでスターシールドを搭載したドローンに制限がかかったという報道です。
補足しておくと、マスク氏は、スターシールドは米政府が管理しており、その制限も政府が決めていると説明しています。スターシールドは別物の軍事システムで、ドコモのお客さんが使っているスターリンクのサービスではありません。低軌道での競争は健全ですし、日本が独自のネットワークを築くなら大歓迎です。ただ、スターリンクに迫る規模でこれを今すぐ提供できるシステムは、ほかにありません。
EVX Newsの視点
5カ月で1,000万人。通信インフラというより、SNSアプリ並みの普及カーブです。SpaceXは「圏外」を解決できる問題に変え、日本のキャリアは素早くそれに乗りました。2027年までにV2衛星がブロードバンドと音声を運んでくれば、日本の山あいに残る圏外エリアの寿命も、そろそろ尽きそうです。
出典:ケータイ Watch、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、CNET Japan。
— EVX News編集部
アイキャッチ画像:東京・NTTドコモ代々木ビル。撮影:Basile Morin、出典:Wikimedia Commons、ライセンス:CC BY-SA 4.0。
